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チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第151話 流れるプール

2008年08月10日 | チエちゃん
 なぜ? 
由美ちゃんは自分の水着を持ってたの?
この東京行きは、急に決まったはずなのに、由美ちゃんはプールに行くことを知ってたの?
チエちゃんは、自分だけのけ者にされたような気がしたのでした。

 その年の夏、おじいちゃんは救急車でF市の病院へ搬送され、盲腸の緊急手術を受けたのです。高齢のせいか痛みがなく、気付いた時には、盲腸が破裂して危険な状態でした。
東京から、ヨシヒサ伯父さんがお見舞いに駆けつけましたが、その時には、おじいちゃんは危険な状態を脱し、快方に向かっておりました。

 一安心した伯父さんは、チエちゃんと従姉妹の由美ちゃんを夏休みだから、東京に遊びに来ないかと誘ったのです。
チエちゃんたちは、思いがけなく伯父さん家に行くことになったのでした。

 一週間ほど滞在したある日、”としまえん”行くことになりました。

 ”としまえん”にね、流れるプールがあるんだよ!たのしいよ!

従兄妹のマー君が言います。

 流れるプール? 一体 何、それ?

 行けば、わかるよ!

 でも、チエちゃんは水着を持っていません。プールに行くなんて、知らなかったからです。
アキ子おばさんが、お古の水着を貸してくれることになりました。
”としまえん”に着いて、着替えたその水着は、オレンジ色のセパレートタイプでした。大人びたその水着を着たチエちゃんは、恥ずかしいけれど、ちょっぴりうれしくもありました。
チエちゃんの胸が膨らみ始めていたとはいえ、大人の女性のようなわけにはいきません。水着の胸パットを指で押すと、ペコっとへこむのでした。

 浮き輪を持って、いざ、流れるプールへ。
なるほど、こりゃあ、ほんとに流れるプールだ。浮き輪につかまっていれば、自然に流されていく。東京って、すごいや!

 さっき、自分だけのけ者にされたと思ったことなど、すっかり忘れてしまったチエちゃんなのでした。