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チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

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大伯皇女

2008年06月30日 | チエの玉手箱
 わが背子を大和へ遣(や)るとさ夜深けて
    暁露(あかときつゆ)にわが立ち濡れし

                  大伯皇女(おおくのひめみこ)

 いとしいひとを大和へ返すとて、私は夜更けにひっそり見送ったのだ。
 夜明け前の露にぬれそぼって。  (大岡 信)


 大伯皇女は、天武天皇と天智天皇の娘、大田皇女の間に生まれた姫です。
父天武が天皇に就いたとき、伊勢の斎宮に選ばれました。ここに読まれている「わが背子」とは同母弟大津皇子のこと。

 大津皇子は天武天皇の第三皇子で、文武共に優れ、有力な皇位継承者でしたが、天武崩御後、義母持統天皇(大津皇子は実の姉の子)により、謀反の罪をきせられ、死罪となったのです。
天武の死後わずか23日後のことでした。

 その直前、大津皇子は伊勢の大伯皇女にこっそりと会いに行くのです。
おそらくは、これが永遠の別れとなることを知っていたのでしょう。
なんともせつない歌です。


 歴史の流れに翻弄されながらも、この時代の人たちは運命にしっかりと立ち向かった・・・そんな気がしています。