気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-03-16 22:03:04 | 朝日歌壇
夕迫り砂場の子らは帰りゆく砂山二つに椿をかざりて
(徳島市 磯野富香)

25時昨日が続くこのフロアーパソコンの前目薬を差す
(直方市 石井信男)

最終の授業を了へてゆつくりとやや湾曲の黒板を消す
(船橋市 岩瀬孝雄)

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一首目。そう言えば、子供のころこういうことをしたのを思い出した。自分の作った砂山に愛着があっても日が暮れると家に帰らなければならない。そんなとき、記念のように花を飾ったりするのだ。次の日、そのままだったらうれしかったし、崩れていたら哀しかった。作者は子供の様子をよく見ていて、自分の子どものころを思い出したのだろう。
二首目。深夜まで働いていて、時計は次の日になっているのに、昨日がまだ続いている。海外とメールで商談をしていたり、ネットで様子を見ていると寝る暇もなくなってしまう。こういう異常な働き方をする人も職場もなくならない。仕事をしていることで味わうハイな気分はたまらなく良いものらしいから。家庭の幸福などと比べようもないほど素晴らしい「仕事」というものが、あるところにはあるらしい。
三首目。学校も年度末で、最後の授業なのだろう。「やや湾曲な黒板」がとてもリアル。
子供のころの先生の顔をふと思い出した。


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