気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2014-05-12 20:45:01 | 朝日歌壇
親からは二つ離れた吊革で中学生が景色を見ている
(さいたま市 黛衛和)

少しずつ右親指が押さえゆくページ増えきて本読み終える
(川崎市 大平真理子)

わだかまり少なき少女の片恋のようにゆるりと巻く春キャベツ
(水戸市 中原千絵子)

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一首目。よくわかり共感できる歌。中学生というのは、そういう年代だと思う。上句の「二つ離れた吊革」が具体的でよく観察している。景色がやや大雑把かと思うが、それを凌駕して上句がいい。
二首目。たしかに、読み終えるころになると、開いた本の右側にページの大部分が寄っていく。「右親指」で、細かいところまでしっかり見ているのがわかる。
三首目。ゆるりと巻いた春キャベツの比喩として、少女の片恋はいい。おそらく、幼くて一方的な片想いだろう。何も起らないから、純粋。大人のような打算も駆け引きもない。結句の「巻く春キャベツ」のような二音+五音のリズムは、とても気持ちがよい。私もこういう結句が好きで、こればかりになってしまいそう。意識していまは減らしている。

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