
ほたる散つて水のあまさに痴れてゐたあれはたしかに十九(じふく)のころか
君は来で雨に庇のゆふまぐれ去年(こぞ)の残りの花火してゐる
梅雨寒や蛸が食ひたし銀ねずの濡るる路上に蛸はをらぬか
夢のなかの父も男も冬ざれにあたためられし鋼のにほひ
ちんまりと小さく生くるついでなり歌詞まちがへて歌をうたふも
(辰巳泰子 仙川心中 砂子屋書房)
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蛸が食ひたしの歌の粘っこさに感心する。大阪の人なのだ。
君は来で雨に庇のゆふまぐれ去年(こぞ)の残りの花火してゐる
梅雨寒や蛸が食ひたし銀ねずの濡るる路上に蛸はをらぬか
夢のなかの父も男も冬ざれにあたためられし鋼のにほひ
ちんまりと小さく生くるついでなり歌詞まちがへて歌をうたふも
(辰巳泰子 仙川心中 砂子屋書房)
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蛸が食ひたしの歌の粘っこさに感心する。大阪の人なのだ。