気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

月蝕書簡 寺山修司

2008-05-16 14:02:51 | つれづれ
おとうとよ月蝕すすみいる夜は左手で書けわが家の歴史

一匹の生くる蛍をはさみ閉じ燃え上がるを待つ悪魔の事典

駄菓子屋でビー玉一つ買いてより眼球譚のはじまりとなる

眼帯の中に一羽の蝶かくし受刑のきみを見送りにゆく

亡き兄の指紋さがしに今日も来る少年倶楽部の貸本屋かな

満月に墓石はこぶ男来て肩の肉より消えてゆくなり

(寺山修司 月蝕書簡 岩波書店)

*************************

没後25年になる寺山修司の遺歌集を読む。
いままで、寺山修司の短歌をちゃんと読んで来てなくて、アンソロジーで少し知っている程度だが、記憶に残るキーワードがここでもよく出てくる。
架空の家族たちを中心に、眼球、蝶、月蝕、蛍、面売りなどなど。耽美な寺山ワールドへ、もう一度入りなおす気分で読んでいる。

詩人とはならずものだと母の言ふ寺山修司 タバコのにほひ
(近藤かすみ)


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (美子)
2008-05-18 12:47:00
かすみ様こんにちは。お久しぶりです。
なんだかばたばたと忙しく気がついたら新緑真っ只中。
先日短歌人の秋田の会に行ったんですよ。
何年ぶりかなあ。懐かしくそして楽しい会でした。
でもはっきり短歌には向いてない自分を感じました。

俳句に100のちからを注いでいます。
かすみ様も短歌をがんばってください。
返信する
Unknown (かすみ)
2008-05-19 00:10:45
美子さん こんばんは。
美子さんが秋田の方とは知りませんでした。
まあ短歌か俳句かは、好みや向き不向きがあるんでしょうね。わたしは少し俳句の講座に行きましたが、もう行かなくなってしまいました。向かなかったんですね。短歌は飽きずにこれからも続けると思います。
美子さんも、俳句でがんばってくださいね。
返信する