気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 同人のうた

2013-06-07 21:49:47 | 短歌人同人のうた
花筏しろく浮かべてあかつきの水路にこの世のみづ流れをり
(青輝翼)

ゆくりなく缶詰売場に涙わく闇のなか食みしあさりのしぐれ煮
(洞口千恵)

読めぬ字もすこしはありて子規筆の短歌を見てをりてこころたのしい
(山寺修象)

海抜六○○メートル零下二○度胃が死んで雲上にわれ聖のごとく
(本田稜)

ごみ溜めの隅にいちりんのすみれ咲きそれはマチェックとわたしのお墓
(橘夏生)

薬師如来ふいにおそろしほほゑみのあまりにやさしく美しければ
(長谷川莞爾)

男下駄の褪せた鼻緒に蠅止まる夏の勝手口闇深かりき
(紺野裕子)

JR券売機前すんなりと呑み込まれゆく樋口一葉
(倉益敬)

逆光にゑまへるさくら寒の日に逝きたるきみはこの花を見ず
(春畑茜)

嫩葉する木蔭にながく座れどもこの木のベンチもわれも芽吹かず
(渡英子)

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短歌人6月号、同人1欄より。

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