南国の香り点してたちまちに楽園になる2LDK
結婚の重みと厚み「ゼクシィ」と「けっこんぴあ」を持ち上げてみる
iPad片手に震度を探る人の肩越しに見るふるさとは 赤
いま声をあげねばならん ふるさとを失うわれの生きがいとして
うつくしまふくしま唱えて震災の前に戻れる呪文があれば
果てしない除染作業に人生を捧げたくはない若者われら
除染という仕事を与え福島の人らを集めて二度傷つける
海沿いの広すぎる空広すぎる灰色の土地 それでも故郷
偽りの言葉ならべる<つながろう、絆、がんばろう、元気です>
知らぬなら無いこととして過ごしおりゆゆしき日々の続く日本(にっぽん)
あきらめるための一時帰宅だと友は笑顔を作ってみせる
二年経て浪江の街を散歩するGoogleストリートビューを駆使して
(三原由起子 ふるさとは赤 本阿弥書店 ホンアミレーベル)
*********************************
「日月」所属の三原由起子の第一歌集を読む。
三原さんは、福島県双葉郡浪江町に生まれる。この歌集は、十六歳から三十三歳までの作品をまとめたもの。
前半の歌は、若々しい恋から結婚に至る相聞が中心で、素直に生き生きと詠われている。後半、東日本大震災と原発事故で、故郷の状況は一変する。
六首目、七首目に出て来る除染作業のことは、現地の人でないと知り得ないこと。メディアの情報だけではわからない心情が詠われていて、実感がこもる。
あとがきが書かれた4月1日現在、浪江町は区域再編により、避難解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域に分断されているという。彼女の実家は、避難解除準備区域にあたり、昼間の立ち入りが緩和されるだけで、十五歳未満と妊婦の立ち入りは不可。宿泊もできない。その意味と今後を、歌集を読んだ人と一緒に考えていけたらと願っている、とあとがきは結ばれている。
先日、短歌人関西歌会の研究会で、大口玲子の歌について発表をする機会があったが、みな口が重くなってしまった。当事者でない者が軽々しくモノを言えない雰囲気がある。しかし、震災も原発事故のことも、決して忘れてはならないし、いまも続いている事件なのだ。
この歌集を読んで、作者が当事者として「ふるさとを失う」という歌を読む衝撃は大きい。歌集の最後の一首は、「二年経て・・・」の歌だ。無力感という言葉で片付けるわけには行かない思いが伝わる。
結婚の重みと厚み「ゼクシィ」と「けっこんぴあ」を持ち上げてみる
iPad片手に震度を探る人の肩越しに見るふるさとは 赤
いま声をあげねばならん ふるさとを失うわれの生きがいとして
うつくしまふくしま唱えて震災の前に戻れる呪文があれば
果てしない除染作業に人生を捧げたくはない若者われら
除染という仕事を与え福島の人らを集めて二度傷つける
海沿いの広すぎる空広すぎる灰色の土地 それでも故郷
偽りの言葉ならべる<つながろう、絆、がんばろう、元気です>
知らぬなら無いこととして過ごしおりゆゆしき日々の続く日本(にっぽん)
あきらめるための一時帰宅だと友は笑顔を作ってみせる
二年経て浪江の街を散歩するGoogleストリートビューを駆使して
(三原由起子 ふるさとは赤 本阿弥書店 ホンアミレーベル)
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「日月」所属の三原由起子の第一歌集を読む。
三原さんは、福島県双葉郡浪江町に生まれる。この歌集は、十六歳から三十三歳までの作品をまとめたもの。
前半の歌は、若々しい恋から結婚に至る相聞が中心で、素直に生き生きと詠われている。後半、東日本大震災と原発事故で、故郷の状況は一変する。
六首目、七首目に出て来る除染作業のことは、現地の人でないと知り得ないこと。メディアの情報だけではわからない心情が詠われていて、実感がこもる。
あとがきが書かれた4月1日現在、浪江町は区域再編により、避難解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域に分断されているという。彼女の実家は、避難解除準備区域にあたり、昼間の立ち入りが緩和されるだけで、十五歳未満と妊婦の立ち入りは不可。宿泊もできない。その意味と今後を、歌集を読んだ人と一緒に考えていけたらと願っている、とあとがきは結ばれている。
先日、短歌人関西歌会の研究会で、大口玲子の歌について発表をする機会があったが、みな口が重くなってしまった。当事者でない者が軽々しくモノを言えない雰囲気がある。しかし、震災も原発事故のことも、決して忘れてはならないし、いまも続いている事件なのだ。
この歌集を読んで、作者が当事者として「ふるさとを失う」という歌を読む衝撃は大きい。歌集の最後の一首は、「二年経て・・・」の歌だ。無力感という言葉で片付けるわけには行かない思いが伝わる。
iPadでふるさとの震度を目にしたときの衝撃は忘れられません。
Googleストリートビューで浪江町を散歩するなんて、複雑な気持ちです。
異常なことが日常になりつつあります。
そして、「これから」のことを一緒に考えていただけるきっかけになればと思っております。
今後ともよろしくお願いします。
第一歌集のご出版おめでとうございます。送ってくださりありがとうございました。
一度、大阪の田中教子さん関係の会で、お目にかかったと思います。
関西にいると、テレビや新聞の情報はあるものの、現地の様子を肌で感じるところまでは行きません。歌集を読んで、考えさせられました。
こちらこそよろしくお願いいたします。