気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

象の眼 奥村晃作 六花書林

2022-07-02 10:24:46 | つれづれ
萩原君が作ってくれたメール歌会今も月一の歌会は続く

〈象の眼〉と妻が言いたり〈象の眼〉は疲れ切ったる時のわれの眼

左から右の果てまで行き着きし岡井隆は巨きうたびと

技巧的表し方が好きでない真っすぐに詠むオクムラ短歌

ぬばたまの夜が明けぬれば今日もまたウィズコロナの工夫の暮らし

千円を入れると釣りがレシートが出て支払は機器が受け持つ

目の玉を手術されつつ目の玉は手術の一部始終を見てた

「オイシイヨ、早くお食べ」という如く千両の実は剝き出しに付く

老歌人オクムラは歌に忙しく今日また風呂に浸かるヒマは無く

犬は皆ヒモを付けられ道を行く猫はヒト見てとっさに逃げる

(奥村晃作 象の眼 六花書林)

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奥村晃作の十八番目の歌集。2019年7月から2022年3月までの598首が収められる。時期的に丁度、コロナ禍をどう生きたかの記録ともなっている。思ったことをそのまま定型に納めた歌に納得し、楽しみながら読んだ。何かと格好をつけがちな歌人の中で異色の存在。86歳。カタカナ表記が独特で愉快だ。まっすぐに進むしかないオクムラ自身の性格と短歌が結合して独自の世界を表現している。

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