気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

冬がきてゐる

2008-12-29 23:53:50 | きょうの一首
「もなか種 丸山商店」ひめやかに看板ありて冬がきてゐる
(小池光 或る日、われは 短歌1月号)

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角川短歌1月号のうたい始め 新春四十五歌人競詠から。いかにも小池さんらしい歌。
もなか種は、和菓子のもなかの餡子のことだろう。それを作っている丸山商店は、ひっそりとしてしもた屋のような風情だ。頑固な主人としっかり者の奥さんと二人で守ってきた職人の店だろう。古びた看板がそっと掛けてある。周りもそんなに流行っていない理髪店や、喫茶店がほそぼそと営業している。空を見上げれば今にも雪が降りそうな気配だ。
冬が来ている歌としては、茂吉の「電車とまるここは青山三丁目染屋の紺に雪ふり消居り」を思い出す。どちらも固有名詞の効いている歌だ。



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