気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人5月号  初夏のプロムナード

2013-05-19 01:35:46 | 短歌人同人のうた
三月になっても澱のような冬 人を亡くせば時が乱れる

感情をほぐすまもなく日常は子らがそれぞれ色塗りたくる

空色の自転車だった靴紐を結ぶわたしを追い越したのは

(猪幸絵 メタルバード)

永遠を生きるとは何まつすぐにわれを見すゑる絵のなかの人

ちちははを欠くこれの世の庭隅に牡丹の芽吹きまた春は来つ

枝さきにみかんを刺せばめじろ来てついばむときに白き腹みゆ

(杉山春代 夢)

空と山の分かれ目もなく暗みゐて不定愁訴のごとき時食む

弥生なかば白波の立つ湖(みづうみ)の水に重なる風襞をなす

並びゐる風車それぞれ回る午後原発阻止の記事を思ひぬ

(藤本喜久恵 湖の景)

そこここに時計は秒を刻みいて黴のごとくにはびこる一秒

シーベルトは人の名にして国中に広く知られる現世となりぬ

測定を初めて為せし人は誰これより人は競い止まざり

(長谷川富市 測る)

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短歌人5月号、初夏のプロムナードより。

本日、奈良市・キャンベラ市姉妹都市提携20周年記念認定事業

日豪短歌朗読コンサートが、開催されます。

「短歌とTANKA」

智内威雄ピアノ演奏+短歌朗読

5月19日(日)14:00

奈良市音声館(奈良市鳴川町32-1)

入場料2000円です。