気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-05-20 23:01:52 | 朝日歌壇
兵隊になるのは君ら君らだと言へば私語止む午後の教室
(島田市 水辺あお)

首かしげ敗因さがすプロ棋士のコンピューターは余熱を冷ます
(伊賀市 上門善和)

歌一つつくって眠る聖五月明日という語のふいに愛しき
(垂水市 岩本秀人)

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一首目。作者は中学か高校の歴史の先生なのだろうか。歴史を昔に終わったことと思って授業を聴いていると、つまらなく私語もしてしまうが「兵隊になるのは君らだ」と言うと、生徒もはっとして聞き耳を立てる。午後の教室の眠くなる様子もよく伝わってくる。
二首目。上句だけを読むと人間のプロ棋士かと思うが、下句まで読むとコンピューター。「余熱をさます」がリアルで面白い。
三首目。作者は寝る前に、歌を作ることをノルマにしているようだ。今日も無事ノルマを果たして、余韻に浸っている。聖五月という言葉が美しく、明日に希望がわくような気がしたのだろう。「歌ひとつ」という表現はどうだろう。「歌一首」とするべきなのか、意見の分かれるところだ。

昨日は、奈良で日豪短歌朗読イベントに、今日はそのメンバーでの歌会に参加した。そこで、ある方が「もっと明るい歌を」と意見を言われた。たしかに、何か辛いことがあって、歌を作ると、訴える力が出ることも多いが、明るい歌の良さが軽く扱われているという気もした。