気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人5月号 初夏のプロムナード

2013-05-15 23:13:59 | 短歌人同人のうた
健軍の夏のあかるき電停に来てくれたりき下駄を鳴らして

瘋癲院偏頑横行居士となり二年は過ぎてけふ琅玕忌

遺影へとささげられたつ一枝に白梅幾つ咲きて匂ふも

(琅玕忌 青輝翼)

夢の中で泣くこといつあなくなりぬ今日も遠くに雲うかぶ空

クロッカスの芽吹きの光にかがまりて何も思わぬ時のすぎゆく

チェロのかたちのケースに凭れ若者は目を閉じており春の電車に

(過ぎゆく 木曽陽子)

手ごたへのないこともない現実のタッチパネルにあてる指腹

円グラフもつとも狭い面積の「その他」に今日は座つてゐたい

いづれの日うまるるあそびぎしぎしとねぢくぎくさびのたぐひ弛みて

(いづれの日 阿部久美)

人の手が均しし土をわれは好く二畝ばかりネギがならんで

毛沢東が若き一時期に就きし職司書職に我は長かりき

犬がいれば必ず人がいて犬連れてる人と犬と等分にみつ

(等分に 小野澤繁雄)

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短歌人5月号、初夏のプロムナードより