気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-05-27 22:31:03 | 朝日歌壇
密会のわが楽しみぞ天蚕の棲む一本のくぬぎ見守る
(成田市 神郡一成)

引き継ぎの資料と共に肩書を置いて静かに会社から去る
(生駒市 宮田修)

足早に五月の風を追い越してどこかへ行ったっきりの修司よ
(八尾市 水野一也)

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一首目。天蚕はヤママユのこと。初句の「密会の」でドキっとさせられるが、自分だけが知っているという喜びが感じられる。
二首目。定年退職は、こういうのが理想的。最近は、定年が65歳になった会社もあり、働けるうちは働く、という人も多い。退職後、いつまでも過去の役職にこだわる人は、周りも付き合いにくいだろう。作者には、短歌があってよかった。やることのない人はどうするのか、恐ろしいことだ。
三首目。寺山修司への挽歌。47歳の死は早すぎるが、その存在は大きく、五月になれば、修司を思い出す人が多い。
私のベストワンを選ぶなら、
「人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ」