白粥に小倉屋えびすめ二片ほど吉井勇を読まむ今宵は
(原野久仁子)
鈴のごとく震えていたり白梅の蕊と蕊との間の空気
(守谷茂泰)
福寿草のあかるい黄は放射能浴びても褪せぬ色と知りたり
(岡田悠束)
立ち返る父の言葉をひとつひとつわれはなぞりぬ脈絡もなく
(関谷啓子)
菫色のかすかな明かり見えし日か石巻に生きると君は呟く
(梶田ひな子)
喜楽沼、斯かるバス停あるをしも知らず来し古希にならん歳まで
(宮田長洋)
雑貨屋のサンタクロースをつまみあげ見つめたり 同じところに戻す
(内山晶太)
生きたつてせいぜい八十年なれば美味いうまいと食ふ牡蠣フライ
(中地俊夫)
黄砂ふる春よゆつくりカート押す野菜売場のなかの菜のはな
(渡英子)
歌会の下見の帰りふたりしてかつ丼食べしことも偲ばる
(斎藤典子)
************************************
短歌人5月号、同人1欄より。
(原野久仁子)
鈴のごとく震えていたり白梅の蕊と蕊との間の空気
(守谷茂泰)
福寿草のあかるい黄は放射能浴びても褪せぬ色と知りたり
(岡田悠束)
立ち返る父の言葉をひとつひとつわれはなぞりぬ脈絡もなく
(関谷啓子)
菫色のかすかな明かり見えし日か石巻に生きると君は呟く
(梶田ひな子)
喜楽沼、斯かるバス停あるをしも知らず来し古希にならん歳まで
(宮田長洋)
雑貨屋のサンタクロースをつまみあげ見つめたり 同じところに戻す
(内山晶太)
生きたつてせいぜい八十年なれば美味いうまいと食ふ牡蠣フライ
(中地俊夫)
黄砂ふる春よゆつくりカート押す野菜売場のなかの菜のはな
(渡英子)
歌会の下見の帰りふたりしてかつ丼食べしことも偲ばる
(斎藤典子)
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短歌人5月号、同人1欄より。