避難すべく靴をはかんと屈まれば津波に浮きしはきものさらはる
(阿部凞子)
二時間半並びて「御老公の湯」につかる被災一週間ののちのからだを
(大森益雄)
シャンプーを浴びて気狂ふ猫よ猫なんとかなるさなんとかなるさ
(小池光)
手をのばす テレビ画面の向かうがは泥にまみれしランドセルあり
(斎藤典子)
三年分大きくなつた亀がゐる息子の部屋に息子はをらず
(渡英子)
若林のぶに肖るひとあゆみきてむねふたぐかな高田馬場駅
(宮田長洋)
わが街の明かりはふっと消されたり魔法のごとし生きてることも
(関谷啓子)
余震・火事・動悸やまざるゆふぐれを菜を刻みつつ涙してゐる
(庭野摩里)
ミルクティ熱きを飲みているにさえ罪のごとしよ被災地の寒
(松圭子)
くりかえしくりかえしかけ繋がらぬ電話という名の文明の利器
(宮郁子)
*******************************
短歌人6月号、同人1欄から。
今月号はやはり地震の歌が多い。それぞれのスタンスで詠まれていて興味深い。
(阿部凞子)
二時間半並びて「御老公の湯」につかる被災一週間ののちのからだを
(大森益雄)
シャンプーを浴びて気狂ふ猫よ猫なんとかなるさなんとかなるさ
(小池光)
手をのばす テレビ画面の向かうがは泥にまみれしランドセルあり
(斎藤典子)
三年分大きくなつた亀がゐる息子の部屋に息子はをらず
(渡英子)
若林のぶに肖るひとあゆみきてむねふたぐかな高田馬場駅
(宮田長洋)
わが街の明かりはふっと消されたり魔法のごとし生きてることも
(関谷啓子)
余震・火事・動悸やまざるゆふぐれを菜を刻みつつ涙してゐる
(庭野摩里)
ミルクティ熱きを飲みているにさえ罪のごとしよ被災地の寒
(松圭子)
くりかえしくりかえしかけ繋がらぬ電話という名の文明の利器
(宮郁子)
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短歌人6月号、同人1欄から。
今月号はやはり地震の歌が多い。それぞれのスタンスで詠まれていて興味深い。