気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 同人のうた その2

2011-06-22 22:33:38 | 短歌人同人のうた
避難すべく靴をはかんと屈まれば津波に浮きしはきものさらはる
(阿部凞子)

二時間半並びて「御老公の湯」につかる被災一週間ののちのからだを
(大森益雄)

シャンプーを浴びて気狂ふ猫よ猫なんとかなるさなんとかなるさ
(小池光)

手をのばす テレビ画面の向かうがは泥にまみれしランドセルあり
(斎藤典子)

三年分大きくなつた亀がゐる息子の部屋に息子はをらず
(渡英子)

若林のぶに肖るひとあゆみきてむねふたぐかな高田馬場駅
(宮田長洋)

わが街の明かりはふっと消されたり魔法のごとし生きてることも
(関谷啓子)

余震・火事・動悸やまざるゆふぐれを菜を刻みつつ涙してゐる
(庭野摩里)

ミルクティ熱きを飲みているにさえ罪のごとしよ被災地の寒
(松圭子)

くりかえしくりかえしかけ繋がらぬ電話という名の文明の利器
(宮郁子)

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短歌人6月号、同人1欄から。
今月号はやはり地震の歌が多い。それぞれのスタンスで詠まれていて興味深い。