気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-06-27 18:08:11 | 朝日歌壇
狐育(こそだ)てとシングルマザーは似てるけど いるのにいない方が寂しい
(調布市 西野千晴)

姫女苑(ひめじょおん)雨にぬれゐる川土手の夕道細し白く煙(けぶ)りて
(西条市 亀井克礼)

ふくしまのもも、なし、りんごちさき実のひとつひとつが抱いてる不安
(福島市 美原凍子)

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一首目。「狐育て」はこなれていない言葉だが、シングルマザー(離婚して一人で子育てをしている母)との対比として、出た言葉だろう。父親はいるのに子育てに手を貸さない、また忙しすぎて子供と関わる暇がない状態のさみしさをうたっている。共感できる歌。
二首目。情景だけを詠んだすっきりした歌。夕道という言葉はあまり聞かないが、ここで時間の情報も入れて、巧みだと思う。
三首目。ひらがなが多く、強調したいところを漢字にするという手法。もも、なし、りんごが幼い子供のように感じられた。