気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2011-06-13 23:17:59 | 朝日歌壇
青春の断片(かけら)のごとき初夏の雲を愛でおり魚信(あたり)無き間を
(舞鶴市 吉富憲治)

朝堀りのごろり転がる筍の醜男順に売れる五の市
(川崎市 藤田恭)

いつ摘みし草かと子等に問われたり蓬だんごを作りて待てば
(つくば市 野田珠子)

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一首目。一読、爽やかな歌。青春のという出だしが、照れくさいが、それをあえて持ってきた勇気に拍手したい。断片はルビをふらなくても「かけら」とひらがなでいいのではないか。また初夏も「はつなつ」とすぐに読めるように「はつ夏」かひらがなでいいと思う。
魚信という言葉を初めて知った。漢字とかなの配分に、思うところはあるが、さわやかなところが気に入った。

二首目。朝掘りの筍は「ぶさいく」な方が味が良いのだろうか。イケメンでスマートなのは、ここでは売れ残るらしい。五の市は、この地域の朝市のことだろう。「ごろり」にも存在感がある。

三首目。手作りの蓬だんごでも、放射能の影響を気にしてしまう。それなら、今後蓬だんごも、ほかの野菜も食べられなくなってしまう。
40歳を超えると何を食べても大丈夫という話しも聞く。心配なのは、子供たちの食べ物だ。