気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 同人のうた その1

2011-06-19 20:09:48 | 短歌人同人のうた
鳥の影ふともよぎりて西窓はあはき春陽(はるひ)を容れゐたるのみ
(川本浩美)

べうべうと天にこゑして何ものか渡りゆく空の薄はなだいろ
(酒井佑子)

人間は怖いと思う三月の霙が雪に変わる昼過ぎ
(高野裕子)

守るには無力な我だ夏帽子を子に夕焼けと共に被せる
(鶴田伊津)

風向きをかくも気にする日々となりやはり自分がかはいい一人
(大橋弘志)

ああ夕陽きょうは異様に美しい非常階段駆け下りながら
(武藤ゆかり)

いつか来る天災地変を棚上げし今年もあふぐ山桜花
(杉山春代)

体におぼえしゆれは忘れられず本を読む時もの探す時
(永嶺栄子・・・栄は火が二つの方の字です)

一杯の水一片のチーズ食むことも苦しかりけり札幌にゐて
(明石雅子)

巡回の警官が繰るカードには五年昔の我が家が在りぬ
(林悠子)

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短歌人6月号 同人1欄から。