気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 6月の扉

2011-06-08 23:25:06 | 短歌人同人のうた
枝々のうちかさなりて重きまでひらくさくらのはつかな翳り

ただ白き輝きとして花満ちて一生(ひとよ)の悲嘆のごとき桜よ

(青輝翼 桜花)

にんげんのプーさんとなる日はちかく火の近く手を伸べてぼんやり

ひよこ鑑定士という選択肢ひらめきて夜の国道を考えあるく

(内山晶太 ひよこ鑑定士)

二人佇ち目眩むほどの花吹雪それよりの花見て見ぬ如し

陽の芝に広ぐる昼餉語らひのほどけて軽き約束をする

(望月さち美 深呼吸)

かにかくに白際立(しろきはだ)たす花の照りたれが解(ほど)かむ白絹の夜

御仕舞と決めしが再びふりかへる花の気妙なるものにまかれて

(人見邦子 白絹)

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短歌人6月号、6月の扉から。
今月は時期的に桜の歌が多かった。
他の紙面には、圧倒的に東日本大震災の歌が多い。
○月の扉は、依頼が別に来る欄なので、地震以外の歌で自分の思いを表現しようとされたのではないかと想像する。

内山晶太さんの「にんげんのプーさん」「ひよこ鑑定士」には、にやりとさせられた。ご本人はさぞ真剣に考えておられると思う。辛いときも、歌があれば、いくらかは救われるような気がする。確かに。