気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-05-28 19:54:58 | 朝日歌壇
軽トラに乗せた神輿のうしろから録音テープの太鼓も行けり
(秦野市 星光輝)

ガソリンの給油を終えし霊柩車朝のラッシュにすべり入りたり
(アメリカ 西岡徳江)

わたくしの視野へようこそはじめての顔なれば繰る野鳥の図鑑
(新潟市 太田千鶴子)

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一首目。いかにも現代的な安易なお神輿の行進を歌っていて、楽しい。本当なら、録音テープの太鼓の音なのだが、短歌という短い器に入れるためには「音」を省略せざるを得ない。これもまた歌の奇妙な味わいになった。作者、ペンネームかもしれないが、短歌で言うところの「つきすぎ」のお名前ですね。
二首目。霊柩車は非日常なもので、一生に一度しか乗らないだろう。しかし運転する人にとっては、日常の仕事であり、給油もしなければならない。日常と非日常の関わり具合が面白いと思った。ところで、作者はアメリカ在住らしいが、アメリカの霊柩車って、どんなのだろう。
三首目。バードウォッチングしている様子がわかる。二句切れの歌で、読んでみて、リズムが心地よい。作者の名前にも、鶴がありました。

新聞歌壇の歌は、一読して意味がわかるが、ネット歌会の歌にはわからないものがある。私の知識が足りないのは仕方ないが、短歌というのは、わかりやすいと深みが足りないことになり勝ち。わかりやすくて、深い歌が出来ればいいな。

鳩、スズメ、烏、ツバメは知つてるがその他の鳥の名前あやふや
(近藤かすみ)