気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2007-05-21 21:31:19 | 朝日歌壇
ともらねばさみしともればなおさみし外灯ほつりあわきそび色
(夕張市 美原凍子)

動物園の老いたるラクダは黄砂浴ぶシルクロードの風に眼を閉じ
(沼津市 森田小夜子)

ガラス越しに商品として人を待つのっぺらぼうの墓石いくつ
(和泉市 長尾幹也)

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一首目。なるほどと思わせる歌。そび色というのは、淡い緋色のことらしい。調べても見つからなかった。このひとの歌はひらがなが多く、いくつか漢字になっていて、その配分がとても巧い。
二首目。老いたラクダが、黄砂混じりの風にふるさとを懐かしむような風情のある歌。ラクダというのは、顔を見ているだけでなんかおかしい。ラクダに似た人がときどき居てそれもまたおかしい。歌人にも将来ラクダに似そうな人が居るが、だれとは言わない。
三首目。まだ何も彫られていない墓石を商品として見る視点がおもしろい。