もの思う妻いかにせんほのほのと微熱に兆す眼(まなこ)をいかに
普通の母でいいと子が言うふわふわと子の言う「普通」銀の響きよ
蛍光の明りに浮かび箸をとる一夫一妻の夕べは永し
くれないの蜜入りりんご頬張ればやたすく蜜に統べられてゆく
うっすらと菜の花の黄が残りいて視界は暗し家に入るとき
(佐伯裕子 あした、また 河出書房新社)
*************************
佐伯裕子は昭和22年生まれ。
同年に小池光、香川ヒサ、永田和宏、河野裕子、道浦母都子。
普通であるって、なんだろう。普通の母って、なんだろう。
普通は銀ほどはよいものであるが、金や白金ではない。
普通の子、普通の夫というのも、存在しないし、いても面白くないだろう。
普通の人が暮らしている場所で、あたりさわりのないご挨拶をして暮らしていくのは、けっこうしんどい。いっそ遠くへ出かけたら、のびのび出来るのだが。
「お子さんは大きくなられましたでしょ」近所の人の言葉は痛し
(近藤かすみ)
普通の母でいいと子が言うふわふわと子の言う「普通」銀の響きよ
蛍光の明りに浮かび箸をとる一夫一妻の夕べは永し
くれないの蜜入りりんご頬張ればやたすく蜜に統べられてゆく
うっすらと菜の花の黄が残りいて視界は暗し家に入るとき
(佐伯裕子 あした、また 河出書房新社)
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佐伯裕子は昭和22年生まれ。
同年に小池光、香川ヒサ、永田和宏、河野裕子、道浦母都子。
普通であるって、なんだろう。普通の母って、なんだろう。
普通は銀ほどはよいものであるが、金や白金ではない。
普通の子、普通の夫というのも、存在しないし、いても面白くないだろう。
普通の人が暮らしている場所で、あたりさわりのないご挨拶をして暮らしていくのは、けっこうしんどい。いっそ遠くへ出かけたら、のびのび出来るのだが。
「お子さんは大きくなられましたでしょ」近所の人の言葉は痛し
(近藤かすみ)