気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

朝日歌壇から

2005-07-10 21:12:39 | 朝日歌壇
捨て去りて職も妻子もなき日々を夢みる夜あり多く雨の夜
(和泉市 長尾幹也)

「臆病の治し方」買えばわが顔をちらり見上げぬ書店の主人
(和泉市 長尾幹也)

パソコンに魂吸われる父よりも金魚の世話をする父が好き
(川越市 原田由美)

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一首目。高野公彦は「夢とはいえ、これは男の抱く物哀しい夢想」と評している。しかし、なんだか男の人は身勝手だ。今の時代、中年以上の女性はお金があって健康なら生き生きしている。
二首目。書店の主人がお客の買った本とお客の顔を見るというのは、失礼な話。よほど小さな店なのだろうか。それとも作者が見られたような気がしただけだろうか。本の題名を引用するなら『』を使うべきだと思う。
三首目。パソコンに魂を吸われる・・・というのは、よくわかる。別に金魚の世話などしてもらわなくてもいいが、自分のことは自分でして、家族に心配をかけないでいただきたいものだ。
それぞれ、なんらかの形で私の気持ちにひっかかった歌について書きました。