酒席では政治と野球の話はタブーだなんて言う。
確かに支持する政党やチームが違えば酒が入っていようものなら時には喧嘩になってしまうかもしれない。それが口喧嘩くらいなら良いけれど何かの弾みで一方が手を出してしまったら殴り合いになる可能性も。
とうとうイスラム国に人質になっていた後藤健二さんが殺害されたという報道が飛び込んだ。一時はトルコ国境あたりで開放されるのでは? との報道もあり望みはまだあると思われたが、大変残念な結果となってしまった。
この結果でもう幕引きかとも思われたが、イスラム国は「日本にとって悪夢が始まる」「場所を問わずに日本人を殺りくする」と宣言し、日本に対しさらなるテロを予告した。
これに反応したのが外国在住の日本人。安倍首相のせいで外国に住んでいる自分たちが危険にさらされる事になったと、怒り心頭のようだ。思いがけず矛先は安倍首相に。
責任は安倍首相なんだろうか? 外国在住の彼らに後藤さんを殺害したイスラム国に対する憎しみはないのか?
首相が2億ドルの中東支援をすると表明した時の背景が良くなかったという意見があり、後藤さんを助けるためにもっとするべきことがあったのではないか! という意見もあるが、中東への人道支援が悪い事ではないし、救出のために政府が何もしないで静観していたわけでもなかろうに。
確かにトルコではなく米英寄りでイスラム国と敵対するヨルダンに対策本部を作ったか? という疑問はあるかもしれない。もしかするとアメリカとの何か密約とかがあって…? トンデモの陰謀説なんか出てきたりするかもしれないが、もし後藤さんが助かったとしてその後また同じように拘束される人が出たら…。
今回のテレビ報道では先に拘束された湯川さんの説明をほとんどしないというのはもの凄く不自然だ。どれだけの信憑性があるのかテレビ、新聞、ネットでしか知ることができない多くの人間には、湯川さんはただの軍事オタクで、非合法のルートでシリア入りし、銃を携帯していたと伝えられれば後藤さんと同列には考えられない。
それを知れば後藤さんはそういう人を助けに犠牲になったと考えられても仕方ないし、そういう人のために日本が危険にさらされることになった。…とは安倍首相を非難する人たちは考えないのだ。
首相官邸前では首相を非難するプラカードを持った人たちが、安倍首相と後藤さんらを殺害したイスラム国と同列に扱い、安倍首相の顔写真にヒトラーのようなヒゲを付け、首相の辞任を要求するものまで。
欧米のみならず、中東を中心にイスラム教を信仰する多くの人たちでさえ、今回のイスラム国の行った事を非難し首相の行動を擁護する姿勢を取っているのに、日本国内でイスラム国を応援するような言動をしてどうするのだ。
敵の敵は見方…首相官邸でデモをしている人とテロリストと同じ穴のムジナではないか?
不条理なテロとどうやって戦うか。武力ではなく話し合いができたとして、こうしたテロリストとまともな話ができるのだろうか。相手の要求が金や領土だとしてちょっとでも譲歩したら、多分その要求は際限なく続くことになるかもしれない。
ソ連に北方領土を占領され、韓国に竹島を乗っ取られ、尖閣諸島も狙われている日本に居ながら、未だに話せば分かるというのもどれだけ甘いんだと思わざるを得ない。
だから武力だ! というのでもなく、危ない相手とは距離を保つというのも一つの作戦ではないか。それから兵糧攻めとか。イスラム国の武器の多くは旧ソ連や新しく欧米から入った兵士が持ち込んだものだという。そういう武器弾薬をどうにかストップさせる事ができたら。
平和を考えているのは首相官邸前で、総理を非難するデモをしている人ばかりではないんですよ。