AD際族

コロナ共存の広告表現の近未来観

輪廻転生のトイレタイム(2)

2015-08-18 11:18:34 | 今そこにあるメディアのリスク
















今のお若い方々は「杉山登志」さんをご存知でしょうか?数々の資生堂の名作CMを世に出し、1973年に若くして自殺してしまったACC賞にも「杉山賞」があります。私が学生の頃 まだ広告業界も知らない頃でした。でも杉山さんの遺書の言葉は今でも覚えております。
『リッチでないのにリッチな世界など分かりません。
ハッピーでないのにハッピーな世界など描けません。
夢がないのに 夢を売ることなどは……とても……嘘をついてもばれるものです』
汐留の広告代理店が未だ築地にあった頃、オーミビルのCRに配属されて初めてのロケがライオンさんのクリームリンス 天草ロケでした。その時の制作会社が日本天然色映画社でした。
素人のお嬢さん参加型CMです。15秒の枠の中で彼女に何を言わせるのか?撮影が終わればその後は明日の演出コンテと言葉打ち合わせでした。寝静まって監督と企画お二人が何やら騒いでいる。目を覚ますと、このお二人寝言で企画打ち合わせをしているのです。この時に
杉山登志さんの『リッチでないのにリッチな世界など分かりません。ハッピーでないのにハッピーな世界など描けません。』が過ぎりました。ここまで自分を追い込んで言葉を編んでいる。
その後、CMランドの今は亡き 椙山三太さん(サントリー サミージェームス ジュニア、はっぱふみふみ、マッドネスを起用したホンダシティ等)キューピーの木村俊二さん、そして現場時代も営業時代もいろいろとお世話になった佐古監督です。良かった事は、若いうちからこの大御所制作会社と仕事が出来たことです。何しろプロデユーサー達のディレクター達へのフォローが凄いのです。クライアントからの要望がその企画演出に悪い意味 影響するとなるとロジカルに論破してきますし、制作費にしても滅茶苦茶なことではなく支払い要求もしてきます。代理店とはクライアントと制作会社の繋でいるわけですから、企画 コピー書いていても調整役もついてくるのです。
お陰様でCMランドで作業させていただいた分、慌てることもなく理路整然と作業が出来ました。
あるクライアントとの会合で六本木に行かなくてはならない夜 M菓様の企画が決まり、その日のうちにプロダクションも決めなくてはいけなかったのです。制作費も安い。でもランドさんでやって貰いたい。CDを説得してプロデユーサーが捕まったのが、深夜0時近く、音響ハウスで音録りとのこと。終わるのが3時頃。で明け方の4時に六本木のカフェで会う事となりました。制作費もきつい中 やって頂きました。「リッチでないけどリッチなものを届けなくてはいけない。」きついけど15秒にかける気持ちは前向きでした。みんなトイレタイムではないリッチな15秒を模索していた時代でした。