ブーメランの因果応報（１）

捕鯨では何かと過激な行動に出るグリーンピースだが、元々は
１９７０年代のアメリカやフランスの反核運動を主に活動していた
自然保護団体だ。捕鯨船に体当りして、船を沈めてしまった事もある
過激な環境テロリストと呼ばれるシーシェパードとは違う。
今年　カンヌ広告祭プレスポスターライオン　金賞を受賞したBoomerangs。地球環境対策キャンペーンとして、その表現アイディアは面白い。



FIRST LETS FIX THE ECONOMIC CRISIS.THEN,WELL THINK ABOUT THE ENVIRONMENT.

「まず第一、経済危機をなんとかすること。それから環境のことを考えればいいじゃん。」



I COULD TAKE THE SUBWAY TO WORK BUT MY CAR IS SO MUCH MORE COMFOTABLE.

「地下鉄で出勤できるんだけど、車のほうが楽なんだよ。」

環境エコに無神経なメッセージ達。最終的にブーメランの様に
自分に跳ね返って戻って来る。

「遺留品の証人」と戦争を起こす醜い心

NYトレードセンターの跡地　グランド　ゼロに博物館が出来るそうだ。
９１１以降、テロと言う名の新しい無差別殺戮は世界中に広がっている。
そして、その犠牲者は何時も、「一般市民」だ。



若い夫婦の顔写真、片一方の靴底、衣服の切れ端、他は良く判らないが。此れ等「遺留品の証人」が、若い命を奪った事は確かだ。

添えられている言葉の一部
「生き残ったのは７歳の息子でした。
今、彼は叔父と一緒に暮らしています。
そして、もうすぐ冬になります。
民間人への苦しみは終わっていません。
それはまだ始まったばかりです。
ジョージアの2800000の難民を助けるために。
どうぞ5ユーロ寄付して下さい。、SMS（メール）はFN72900へ。」

「刃を突き出せば別の刃が突き出されるだけ。憎しみは、更に憎しみを生む。」
この少ない両親の遺留品が、この７歳の息子への形見とはあまりにも切ない。

「ジーンズの証人」と戦争を起こす醜い心

今年も暑い８月１５日が去って行った。
「８月１５日？」なんの日？と応える若者達もどんどん多くなる。
戦争を経験した「生き証人」も、今年も少なくなっていく。
若い頃初めて、長崎を訪れたとき、「原爆という恐ろしい物を目にした。」
初めてその傷跡を目にして、「戦争の惨さ」を知った。
ベネトンが世界同時　新聞３０段　銃弾に倒れた青年。そのベネトンの着ていた服を
題材に意見広告をしたのは何時ごろだったろう？
国連　スエーデンが屋外広告で取り上げたのも、戦争の犠牲になった人々の衣服だ。
ロシアのグルジュア侵攻をジーンズで証人としている。
ジーンズの証人の横に添えられている言葉。

「VERKHVEBIに2日間雨の様に降った爆弾は、住宅街で１８人の生命を奪いました。民間人への苦しみは終わっていません。それはまだ始まったばかりです。」

「血染めと、もぎ飛ばされたジーンズ」から聞こえてくるのは犠牲者のその瞬間の痛みと叫び。そして戦争起こす。
その心の醜さを、鮮明に伝えてくれている。

麦酒の分かち合いは

2009 OBIEs: James Ready Beer


James Ready Beer（カナダの地ビール）が行ったキャンペーンは、Share our Billboards。



コンシューマ達を巻き込むキャンペーンは、どんどん増えていく。
ビルボードと同じ様に、今は商品ラベルの公募をしている。

http://www.jrbillboard.com/

一般応募は、求める側であるクライアントの緻密な戦略がないと
そのクオリティにおいても失敗する事も多い。
果たして「柳の下に鰌は何匹いるだろうか？」

野獣の囮箱

IKEAのグラフィック展開は、家にあるものを野獣として
表現した。



衣類野獣



オモチャ野獣



それに書物野獣。

それら家の野獣を捕獲する囮箱がIKEAの商品。

タグラインもなにもいらない。一目瞭然。
アイディアの巧さである。

WHOPPER SACRIFICE(4)

Whopper Sacrifice video by crispin porter bogusky




これに「マッタ！」をかけたのがFacebook。友人を削除されれば、その削除の旨が、先方に届く。これは、ユーザーのプライバシーの侵害にあたるとして、10日後にこのキャンペーンを無効にした。この事が更にキャンペーンに拍車をかけたらしい。
従来のメディアは、テレビCMであれば一方向の訴求のみ。２０１１年、地上波デジタル放送開始でCMが「どういった方向でコンシューマー達をまきこんでいけるか？いけないのか？」
テレビCMの分岐点となるであろう。
ウエッブのインタラクティブ性がここまで来ている。真剣に従来のメディアを代えない限り通販CMがどんどん増え、大手企業はテレビ媒体でのCM投下を更に減らしていくであろう。そしてその地位をインタラクティブ　メディアに明渡すこととなる。

WHOPPER SACRIFICE(3)

Whopper Sacrifice


サイバーアドの世界は、Viralへとどんどんコンシューマ達を巻き込んでいく方向に向っている。
毎年、新しい手法で広告を塗り替えていくバーガーキング。
オオトリの表現は、SNSをも巻き込んだ凄いことになったみたいだ。WHOPPER SACRIFICE
（ワッパーの犠牲者）は、コンシューマ参加型のキャンペーン
SNSのFacebook 友達リストから１０人削除した参加者は、ハンバーガー１個無料のクーポンを貰える。Facebookアプリケーションは数日間で８万回近くインストールされ、発送されたWHOPPERクーポンは2万枚に迫り、20万人を優に上回るFacebook上の友達が削除された。

Angry Whopper(2)

Burger King Angry Whopper Talks


http://www.angry-gram.com/index.php
「Angry-Gram」。同僚や友達に向けて「あんたのここが、我慢できんとこだ！」というメッセージを送ることができます。


そしてタイプライターで選んだメッセージはバーガーキングのハンバーガーが、送られた相手にハンバーガーが代弁してくれる。不幸の手紙みたいなもので、これがどんどん、広がっていく。面白いViral 効果を考えるものだと、何時も関心してしまう。上記URLで是非「怒ってんだぞ！」と友人にメールを送ってみて下さい。

Angry Whopper(1)

The BK Angry Whopper


毎度、いろいろな表現展開をして くれるバーガーキングだが、今回は素材の玉葱を苛めに虐めている。そしてこの食材がスパイしーな辛さとなり。「玉葱がが怒ってるぞ！」Angry Whopperキャンペーンとなった。Whopperとは「大嘘」「大ボラ」の意味。他社を意識しつつ、面白い事を考えてくれるものだ。

死への尊厳(2)

Dying Old Breast Cancer Research Trust - Coupsdepub.com


カンヌ広告祭でFilm部門で受賞したBreast Cancer Research Trust
の「Dying Old」
臨終を迎える年老いた老婆、ベッドを囲む近親者達のそれぞれの思い、若かりし時の思いで達が、走馬灯の様に、今にも閉じられそうな老婆の睫毛に憩う。
アカデミー賞を受賞した「おくりびと」を思わせる。
生と死は１本の線で生はこの世（日の当たる）死はあの世（根の部分）に繋がっていると思う。
タグラインはこう続く
More women should die of old age
Thw sooner we get donation
The sooner we’ll find cure
もっと多くの女性達は年老いて（老衰）亡くなっていいはずです。
もっと早ければ、臓器提供を受ける事も出来ます。
もっと早ければ、乳癌を発見し治療する事も出来ます。

年老いて、元気で一生を終える老人は非常に少ないのかも知れない。
その多くは、介護を受け、病院のベッドで黄泉の国へと旅立つ。
「Dying Old」のこの表現は、あえて老人の死を通して
人生を全うして旅立つ尊厳を描く事で、乳がんで若くして亡くなる
女性が　如何に多いのかを描いている。