「君はこの絵を見てどう思うね?」
「コンセプチュアル・アートかしら。でも平凡ね。」
「マルとバツの中心に顔をおいて、左目だけでバツを見ながら顔を近くからだんだん遠ざけてみてごらん、画面の大きさにもよるが、この画面(650x550)なら40センチ位で、視界からマルが消えるはずだよ」
「・・あらほんと、思い出したわ、これって 盲点 のことね」
「そう、1966年のマリオットという人の発見で、人の網膜の構造上どうしても穴のように視野が抜け落ちてしまう部分があるそうだ」
「見えているつもりが盲点ということね、わたしさっき平凡なんていったけど凄くいい絵に見えてきたんだもの」
「君もそう思うかね、私も芸術作品と呼んでも差し支えないと思っている」
「ひらめいたわ、盲点は位置関係に関ると言うことをいいたいのね、そしてバッテンばかりみているとマルが視界から消える」
「ただそれだけでもない、この作品はもしかしたら連作の可能性だってある。もうひとつは、最初から○の描かれていない・・・・」
「マルがバツか、君はどう思うかね?」