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アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

12/3金沢市都市樹木害虫防除検討会

2015年12月05日 | 自然
20151203金沢市都市樹木害虫防除検討会

 2015年12月3日、金沢市都市樹木害虫防除検討会が開かれた。7人の委員、事務局(緑と花の課)が議論し、私と1市議が傍聴した。「検討会」ということで、「審議会」とは違うようで、開催は公表されておらず、公募委員もいない。町内会と婦人会の代表が参加しているが、まあ行政の末端機構の位置にあり、「密室審議」の感が否めず、これが妥当なのかどうか要検討事項である。とはいえ、金沢市のアメシロ対策を知る上では、重要な情報源であり、今回は2回目の傍聴に出向いた。

 事務局から、「早期発見・早期対処で被害を未然に防ぐ」ということで、アメシロのエサ遮断のために夏剪定をおこなったこと、サナギの越冬場所をなくするために樹幹に付着しているコケを取り除いたこと、捕殺(高枝ばさみなどで巣網除去)・薬剤散布したことについて報告された。

発生の傾向
 2015年のフェロモントラップ(18基)による雄成虫の捕獲数は2117匹で、2010~2014年までの5年間の年平均(2331匹)よりも下位にあるが、最少(1738匹)ではなかった。平年並みの範囲内と考えてよい。

 アメシロ羽化前段階は樹幹のコケ対策をおこなったが、フェロモントラップでの2015年1化期の雄成虫の捕獲数は約560匹で、2010~2014年(5年間)の平均647匹よりも少ないが、最少(430匹)ではなかった。同年2化期の捕獲数は約1390匹で、2010~2014年(5年間)の平均1685匹よりも少なかった。2015年フェロモントラップによる捕獲数は2010~2014年5年間の範囲内にあり、特異な数値を示していない。

 そこで、樹幹のコケ対策、夏剪定をおこなったM地区(No.1)について同様の検討をおこなうと、第1化期の捕獲数は過去5年間(2011~2015年)平均の5分の2程度の7匹(年平均17.4)だった。発生前段階で、この地区でおこなったコケ除去が功を奏したのかも知れない。第2化期の捕獲数は平均の半分の114匹(年平均209.4)であり、夏剪定の効果が現れたのかも知れない。

農薬散布量
 アメシロ幼虫発生後は捕殺と薬剤散布で駆除しているが、2015年は捕殺時間も、薬剤散布量も少なくなった。

 報告レジメでは農薬散布量が減少(2015年度8.0万L、過去7年間の平均は12.7万L)したが、町会の薬剤散布量はほとんど変化していない(2015年度5.3万L、過去7年間の平均は5.6万L)。捕殺のために要した時間は2042時間(7年間の平均は2977時間)で、過去5年間で最少になっている。

 フェロモントラップの捕獲数(≓発生係数)、薬剤散布量(全体、町会)、防除要望件数との関係を見ると、①アメシロ発生係数と防除要望件数とは比例していない。②発生係数と農薬散布量(全体、町会)とも比例していない。③町会での農薬散布量はフェロモントラップ捕獲数(発生係数)との間には相関関係はなく、恒常的に一定の散布量(約5万L)があり、全体にたいする割合が増加している。本当に必要性に裏打ちされた農薬散布なのか疑問である。④防除要望と農薬散布量(全体)は相関関係が見られる。

  


捕殺を優先した防除対策を
 金沢大学生態学研究室の都野さんはレジュメのトップに、「(アメシロは)毒は持たないが街路樹への薬剤噴霧が健康被害を生む」という基本的立場を確認したうえで、アメシロによる食害被害を自然界(天敵)のなかで解決するよう促すことを提案している。この点は樹木医の松枝さんもほぼ同じように問題を立てている。

 アメシロ問題はアメシロによる食害(果樹や街路樹への被害)と農薬散布による薬害を一体的に考える必要がある。すなわち、薬害をもたらす薬剤散布を減らし、捕殺を増やすことが求められている。(夏剪定は街路樹の命である景観を否定してアメシロ防除をおこなうという矛盾した対策である)

 積極的に問題を立てるとすれば、薬剤散布を減らした分(財政と人手)を捕殺(高枝ばさみでの巣網除去)にあてれば、健康被害対策と除去効果を上げることができるのではないか。とくに、5~6月の1化期幼虫の巣網段階での高枝ばさみによる捕殺に重点を置くことによって、2化期幼虫の多発生を抑制できる。

 いずれにしても、今年の防除作業による結果は来年春のアメシロ発生状況(フェロモントラップでの雄成虫捕獲数と巣網発生状況)で判断することになる。

感想
 行政主導の「検討会」によるのではなく、住民生活と生物(アメシロなど)を対象化したワークショップ(注)による「検討会」を必要としていると感じた。(注)ワークショップ:一方通行的な知や技術の伝達でなく、参加者が自ら参加・体験し、グループの相互作用の中で何かを学びあったり創り出したりする、双方向的な学びと創造のスタイル。
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