20201210情報公開制度の死―外国人労働者の悲惨を隠蔽
2020年はコロナウイルス禍で、外国人労働者(とくに実習生)の窮状が報道などで散見されてきたので、11月19日、石川労働局を訪問して、「2020年4月1日~11月18日までに、石川県内の外国人労働者からの相談(労働相談票)」の開示を請求した。12月8日に開示決定があり、10日に同局を訪問して、開示文書9枚(表裏18ページ)を受け取った。
おお! おお! おお!
「受付年月日」が消されている―これは一体、いつの文書なのか?
「相談の区分」も「相談の内容」も消されている。―表題はたしかに「相談票」と書かれているが、本当に労働相談票なのか?
下記の添付は、今回開示された9枚のうちの1枚だが、すべてがこんな調子なのだ。これで、外国人労働者が、どのような悩みを持って、相談の電話をしたのか、一切わからない。
2020年開示文書(受付年月日が消された「相談票」)
2015年1月26日受付の「相談票」

当会は石川県内の外国人労働者の「労働相談票」(2012年1月から2015年3月)の開示を請求してきたが、開示文書(百数十ページ分)には相談者の名前や事業所名などは墨塗されているが、受付年月日、相談者の労働形態、相談の内容、事業場の業種・規模はほぼそのまま開示されていた。
今回の開示のあまりのひどさについて、その理由を問い質すと、個人情報(名前など)だけを墨塗にしても、相談年月日、相談内容を開示したら、個人が特定され、相談者の利益が損なわれるというのだ。職員と数十分間、過去に開示された「労働相談票」のファイルを示して、押し問答したが、らちがあかなかった。
2014年の「開示決定通知書」と2020年の「開示決定通知書」の不開示理由を比べてみると、①名前などの個人情報、②事業所名などの情報を不開示にする理由については、一字一句違いはないが、③については、2014年文書は「検査、犯罪捜査、監督指導に支障を及ぼす」という理由だが、2020年文書では「相談者の要望を公にすることにより、相談事務の遂行に支障を及ぼす」という文言に代えられている。
わかりやすく言えば、相談内容を公にすると、相談の敷居が低くなり、相談業務が増えて、「仕事がやりにくくなる」からという理由のようだ。これでは、労働局が誰のためにあるのか、困窮し、パワハラ、不当労働行為に悩む労働者を相談窓口に近づけないようにしているとしか思われない。
2020年12月8日「行政文書開示決定通知書」の不開示理由

2014年8月26日「行政文書開示決定通知書」の不開示理由

情報公開制度は2001年度から始まったが、当会は大東亜聖戦大碑関係文書、小松基地の管制回数、緊急着陸情報などさまざまな情報開示請求をおこなって、密室から市民が必要とする情報を公にしてきた。制度開始20年目にして、情報公開制度も風前の灯火か、もはやこの制度は臨終を迎えているようだ。
2020年はコロナウイルス禍で、外国人労働者(とくに実習生)の窮状が報道などで散見されてきたので、11月19日、石川労働局を訪問して、「2020年4月1日~11月18日までに、石川県内の外国人労働者からの相談(労働相談票)」の開示を請求した。12月8日に開示決定があり、10日に同局を訪問して、開示文書9枚(表裏18ページ)を受け取った。
おお! おお! おお!
「受付年月日」が消されている―これは一体、いつの文書なのか?
「相談の区分」も「相談の内容」も消されている。―表題はたしかに「相談票」と書かれているが、本当に労働相談票なのか?
下記の添付は、今回開示された9枚のうちの1枚だが、すべてがこんな調子なのだ。これで、外国人労働者が、どのような悩みを持って、相談の電話をしたのか、一切わからない。
2020年開示文書(受付年月日が消された「相談票」)

2015年1月26日受付の「相談票」

当会は石川県内の外国人労働者の「労働相談票」(2012年1月から2015年3月)の開示を請求してきたが、開示文書(百数十ページ分)には相談者の名前や事業所名などは墨塗されているが、受付年月日、相談者の労働形態、相談の内容、事業場の業種・規模はほぼそのまま開示されていた。
今回の開示のあまりのひどさについて、その理由を問い質すと、個人情報(名前など)だけを墨塗にしても、相談年月日、相談内容を開示したら、個人が特定され、相談者の利益が損なわれるというのだ。職員と数十分間、過去に開示された「労働相談票」のファイルを示して、押し問答したが、らちがあかなかった。
2014年の「開示決定通知書」と2020年の「開示決定通知書」の不開示理由を比べてみると、①名前などの個人情報、②事業所名などの情報を不開示にする理由については、一字一句違いはないが、③については、2014年文書は「検査、犯罪捜査、監督指導に支障を及ぼす」という理由だが、2020年文書では「相談者の要望を公にすることにより、相談事務の遂行に支障を及ぼす」という文言に代えられている。
わかりやすく言えば、相談内容を公にすると、相談の敷居が低くなり、相談業務が増えて、「仕事がやりにくくなる」からという理由のようだ。これでは、労働局が誰のためにあるのか、困窮し、パワハラ、不当労働行為に悩む労働者を相談窓口に近づけないようにしているとしか思われない。
2020年12月8日「行政文書開示決定通知書」の不開示理由

2014年8月26日「行政文書開示決定通知書」の不開示理由

情報公開制度は2001年度から始まったが、当会は大東亜聖戦大碑関係文書、小松基地の管制回数、緊急着陸情報などさまざまな情報開示請求をおこなって、密室から市民が必要とする情報を公にしてきた。制度開始20年目にして、情報公開制度も風前の灯火か、もはやこの制度は臨終を迎えているようだ。