
入管法改正(2018年12月)から2年
2018年入管法改定時の報道
2年前の2018年12月に改正入管法が強行成立した。その前後の「北陸中日新聞」には、技能実習について、「単純作業、労災隠し、賃金未払い」(2018/11/7)、「深夜まで単純作業、技術学ぶは名ばかり」(11/10)、「低賃金、人権侵害、失踪」(11/14)、「月収25万円、実際は5万円(金沢の実習生)」 (11/14)、「技能実習生、劣悪現場聞き取り後回し」(11/16)、「月給15万円以下、9割超」(11/17)、「入管法改正案、ブローカーの搾取は放置」(11/17)、「実習生の解雇、救う規定なく」(11/19)、「週130時間勤務、月収9万円、実習生過酷労働くっきり」(11/20)、「外国人技能実習、長時間労働、ピンハネ」(11/27)、「入管法、審議わずか15時間余、衆院強行採決」(11/28)、「外国人実習生過酷な実態、失踪者67%最低賃金以下」(12/4)、「劣悪な労働環境鮮明、15~17年、6人自殺」(12/7)、「改正入管法成立」(12/8)、「外国人実習生ら174人、死のリスト」(12/19)、「全国100カ所に相談窓口、多言語化盛る」(12/21)などの見出しで、記事が書かれていた。
この時期の石川県版の記事としては、「石川労働局―県内の技能実習生は4167人」(2018/5/8)、「月収25万円、実際は5万円」(11/14)、「失踪実習生5年で373人(石川)」(11/21)、「外国人就労拡大―中小企業賛成33%」(12/22)、「外国人労働相談窓口、石川など21県未設置」(2019/1/7)などがあるが、極めて低調で、突っ込んだ記事は見られなかった。
階級性の確立のために
ブログ「アジアと小松」では、2010年頃から外国人労働者問題を注視し、「研修生・技能実習生の労働実態について」(2010/1/15)、「外国人労働者の労災発生状況(石川県)」(2010/3/28)、「外国人労働者の労働基本権を守ろう」(2011/12/5)、「外国人労働者の労災発生状況(石川県)」(2013/3/16)、「石川県内の外国人労働者の実情」(2013/4/29)、「外国人労働者に権利保障を」(2014/4/2)、「石川県内の外国人労働者の実情」(2014/9/27)、「技能実習生を食い物にするKKカメダ」(2015/11/8)、「中国人労働者への差別判決弾劾(金沢地裁)」(11/28)、「亀田事件控訴審傍聴報告」(2016/3/10)、「石川県内の外国人労働者の相談事例」(2018/11/17)、「技能実習生からの労働相談」(2018/11/23)などを投稿してきた。
労働相談票
当会では、石川労働局に、2008年10月~2015年3月までの労働相談票の開示を請求し、(2008年度=28枚、2009年度=40枚、2010年度=46枚、2011年度=34枚、2012年度=30枚、2013年度=25枚、2014年度=49枚)外国人労働者の労働実態を明らかにしてきた。
その後開示請求を一時中断していたが、今年の6月24日付「技能実習認定取り消し」の記事を見て、2018、19年度分の「労働相談票」の情報開示請求をおこなってきたが、開示は11月下旬までかかりそうだ。
「認定取り消し」処分
厚生労働省のホームページを見ると(2019年以降の分)、北陸三県の技能実習生受け入れ企業(80社)のうち、大西組など8企業が法違反によって「認定取り消し」処分を受けている。その理由には、賃金未払い、時間外労働の割増賃金不払い、人権侵害行為、長時間労働、労働安全法違反などがあげられている。相変わらず、外国人実習生は劣悪な環境で働かされている実情の一端が明らかになっている。列記すると、
①2019年1月25日 アイシン新和株式会社 富山県入善町
労働安全衛生法違反により罰金30万円に処せられ,刑罰が確定したことから,技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第8号)に規定する認定の取消事由に該当することとなったため。
②2019年9月6日 三郷フーズ株式会社 富山市水橋
発酵食品を製造する設備・機械を保有しておらず,技能実習計画の必須作業である発酵作業を行っていなかったと認められることから,技能実習法第16条第1項第1号に規定する認定の取消事由に該当するため。
③2019年11月15日 かね七株式会社 富山市水橋
技能実習計画に記載された実習予定時間を大幅に超過して技能実習を行わせていたほか,外国人技能実習機構の検査に際し,虚偽の答弁をしたことから,技能実習法第16条第1項第1号及び第5号に規定する認定の取消事由に該当するため。
④2020年1月24日 株式会社イケガミ 小松市今江町
平成30年1月分から同年3月分までの時間外労働に係る割増賃金の不払について,名古屋入国管理局(当時)から不正行為の通知を受け,出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為が認められたことから,技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第9号)に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑤2020年1月24日 株式会社ビクトリー 輪島市町野町
認定計画に従って賃金を支払っていなかったことから,技能実習法第16条第1項第1号に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑥2020年6月23日 株式会社大西組 白山市北安田
技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったことから,技能実習法第16条第1項第2号(同法第9条第6号)に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑦2020年9月11日 株式会社豊盛 高岡市池田
労働安全衛生法違反により罰金の刑に処せられ,刑が確定したことにより,出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたと認められることから,技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第9号)及び第7号に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑧2020年9月11日 株式会社中嶋組 富山県立山町
技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったことから,技能実習法第16条第1項第2号(同法第9条第6号)に規定する認定の取消事由に該当するため。
今後の課題
大西組の処分について、マスコミは極めて軽く扱っており、厚労省のマスコミ発表そのままで、見出しを含めてわずかの8行しかなく、「著しく侵害された人権」には関心がないのか、一言半句も述べていないのである。
11月下旬には「労働相談票」が開示されるので、その内容に注目していただきたい。また、コロナ情勢下の県内企業による外国人労働者(技能実習生)への不当労働行為について、さらに調査を進めたいと考えている。
2018年入管法改定時の報道
2年前の2018年12月に改正入管法が強行成立した。その前後の「北陸中日新聞」には、技能実習について、「単純作業、労災隠し、賃金未払い」(2018/11/7)、「深夜まで単純作業、技術学ぶは名ばかり」(11/10)、「低賃金、人権侵害、失踪」(11/14)、「月収25万円、実際は5万円(金沢の実習生)」 (11/14)、「技能実習生、劣悪現場聞き取り後回し」(11/16)、「月給15万円以下、9割超」(11/17)、「入管法改正案、ブローカーの搾取は放置」(11/17)、「実習生の解雇、救う規定なく」(11/19)、「週130時間勤務、月収9万円、実習生過酷労働くっきり」(11/20)、「外国人技能実習、長時間労働、ピンハネ」(11/27)、「入管法、審議わずか15時間余、衆院強行採決」(11/28)、「外国人実習生過酷な実態、失踪者67%最低賃金以下」(12/4)、「劣悪な労働環境鮮明、15~17年、6人自殺」(12/7)、「改正入管法成立」(12/8)、「外国人実習生ら174人、死のリスト」(12/19)、「全国100カ所に相談窓口、多言語化盛る」(12/21)などの見出しで、記事が書かれていた。
この時期の石川県版の記事としては、「石川労働局―県内の技能実習生は4167人」(2018/5/8)、「月収25万円、実際は5万円」(11/14)、「失踪実習生5年で373人(石川)」(11/21)、「外国人就労拡大―中小企業賛成33%」(12/22)、「外国人労働相談窓口、石川など21県未設置」(2019/1/7)などがあるが、極めて低調で、突っ込んだ記事は見られなかった。
階級性の確立のために
ブログ「アジアと小松」では、2010年頃から外国人労働者問題を注視し、「研修生・技能実習生の労働実態について」(2010/1/15)、「外国人労働者の労災発生状況(石川県)」(2010/3/28)、「外国人労働者の労働基本権を守ろう」(2011/12/5)、「外国人労働者の労災発生状況(石川県)」(2013/3/16)、「石川県内の外国人労働者の実情」(2013/4/29)、「外国人労働者に権利保障を」(2014/4/2)、「石川県内の外国人労働者の実情」(2014/9/27)、「技能実習生を食い物にするKKカメダ」(2015/11/8)、「中国人労働者への差別判決弾劾(金沢地裁)」(11/28)、「亀田事件控訴審傍聴報告」(2016/3/10)、「石川県内の外国人労働者の相談事例」(2018/11/17)、「技能実習生からの労働相談」(2018/11/23)などを投稿してきた。
労働相談票
当会では、石川労働局に、2008年10月~2015年3月までの労働相談票の開示を請求し、(2008年度=28枚、2009年度=40枚、2010年度=46枚、2011年度=34枚、2012年度=30枚、2013年度=25枚、2014年度=49枚)外国人労働者の労働実態を明らかにしてきた。
その後開示請求を一時中断していたが、今年の6月24日付「技能実習認定取り消し」の記事を見て、2018、19年度分の「労働相談票」の情報開示請求をおこなってきたが、開示は11月下旬までかかりそうだ。
「認定取り消し」処分
厚生労働省のホームページを見ると(2019年以降の分)、北陸三県の技能実習生受け入れ企業(80社)のうち、大西組など8企業が法違反によって「認定取り消し」処分を受けている。その理由には、賃金未払い、時間外労働の割増賃金不払い、人権侵害行為、長時間労働、労働安全法違反などがあげられている。相変わらず、外国人実習生は劣悪な環境で働かされている実情の一端が明らかになっている。列記すると、
①2019年1月25日 アイシン新和株式会社 富山県入善町
労働安全衛生法違反により罰金30万円に処せられ,刑罰が確定したことから,技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第8号)に規定する認定の取消事由に該当することとなったため。
②2019年9月6日 三郷フーズ株式会社 富山市水橋
発酵食品を製造する設備・機械を保有しておらず,技能実習計画の必須作業である発酵作業を行っていなかったと認められることから,技能実習法第16条第1項第1号に規定する認定の取消事由に該当するため。
③2019年11月15日 かね七株式会社 富山市水橋
技能実習計画に記載された実習予定時間を大幅に超過して技能実習を行わせていたほか,外国人技能実習機構の検査に際し,虚偽の答弁をしたことから,技能実習法第16条第1項第1号及び第5号に規定する認定の取消事由に該当するため。
④2020年1月24日 株式会社イケガミ 小松市今江町
平成30年1月分から同年3月分までの時間外労働に係る割増賃金の不払について,名古屋入国管理局(当時)から不正行為の通知を受け,出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為が認められたことから,技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第9号)に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑤2020年1月24日 株式会社ビクトリー 輪島市町野町
認定計画に従って賃金を支払っていなかったことから,技能実習法第16条第1項第1号に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑥2020年6月23日 株式会社大西組 白山市北安田
技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったことから,技能実習法第16条第1項第2号(同法第9条第6号)に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑦2020年9月11日 株式会社豊盛 高岡市池田
労働安全衛生法違反により罰金の刑に処せられ,刑が確定したことにより,出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたと認められることから,技能実習法第16条第1項第3号(同法第10条第9号)及び第7号に規定する認定の取消事由に該当するため。
⑧2020年9月11日 株式会社中嶋組 富山県立山町
技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行ったことから,技能実習法第16条第1項第2号(同法第9条第6号)に規定する認定の取消事由に該当するため。
今後の課題
大西組の処分について、マスコミは極めて軽く扱っており、厚労省のマスコミ発表そのままで、見出しを含めてわずかの8行しかなく、「著しく侵害された人権」には関心がないのか、一言半句も述べていないのである。
11月下旬には「労働相談票」が開示されるので、その内容に注目していただきたい。また、コロナ情勢下の県内企業による外国人労働者(技能実習生)への不当労働行為について、さらに調査を進めたいと考えている。