２つの殺人事件

２つの殺人事件

　7月21日、イギリス人女性を殺害したA被告に求刑どおり、千葉地裁は無期懲役の判決を下した。もう一つは、2ヶ月前の5月27日、韓国人女性を殺害したB被告（受刑者）に懲役18年の求刑に、金沢地裁は懲役9年の判決を下した。

　被害者のひとりはイギリス人で英会話講師であり、もうひとりは韓国人で風俗業である。いずれの事件も、性的関係の強要という女性差別事件であり、拒否、抵抗、殺人、死体遺棄へと発展した。金沢の事件は殺害後、首をノコギリで切断し、トランクに詰め、谷底に投げ込み、未だに頭部が見つかっていないという、千葉県の事件よりも数段残虐な事件だ。

　２つの事件の共通点は性的関係の強要、殺人、死体遺棄であり、裁判員裁判では共に「殺意の有無」が争われたが、判決は、A被告には殺人罪、B受刑者には傷害致死罪が適用され、無期と9年に大きく分かれた。この２つの事件と判決に民族差別（脱亜入欧）を感じずにはおれない。

　警察捜査を見ると、千葉の事件に対しては執念深く、金沢の事件に対してはおざなりだった（頭部は未発見）。検察の求刑は無期と18年、判決は無期と9年、しかも金沢の事件については、検察は控訴すらしていない。まさに、警察、検察、裁判所（裁判員）による韓国人差別事件ともいうべき流れである。

　韓国聯合ニュースも「被害者が外国人で風俗業で働いたという理由から日本国内で被告に対する同情論が起き、裁判が公正でなかった」と報道した。Ｂ受刑者（日本人）の行為には、韓国人女性に対する根深い差別意識が潜んでいると思われ、裁判初日に金沢地裁に出かけたが、抽選漏れで傍聴できなかった。

　検察は控訴を放棄することによって差別事件の解明をうやむやにし、裁判はその真相（差別）を明らかにすることなく終わった。その後、千葉事件の判決があり、対照することによって、一層、金沢事件の差別性が露わになった。