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アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

『ミツバチ大量死は警告する』

2014年07月14日 | 自然
『ミツバチ大量死は警告する』 (岡田幹治2013年12月 集英社新書)

 著者は、アメリカの作家レイチェル・カーソンの『沈黙の春』をとりあげ、人類が20世紀に手にした恐るべき力として、原子力と化学薬品(化学物質)を挙げている。

 世界で使われている化学物質は約10万種にものぼり、さらに、毎年多数の新規物質がくわえられている。その影響について、種の保存や生命の維持に重要な役割を果たす内分泌系を撹乱する「内分泌攪乱物質」、脳神経系の発達を撹乱する(発達障害の)原因となっていることも示唆されている。

 本書では、ミツバチの異変を切り口にして、環境化学物質による被害の最新状況を明らかにし、科学技術によって、自然(人間)を破壊しながら経済成長を続ける近代文明を告発している。

 ミツバチの異変について、フロリダの養蜂家ハッケンバーグの「ネオニコチノイドの能書きを読むと、昆虫に記憶喪失、食欲減退、方向感覚の喪失、免疫系の崩壊を招く」という話を紹介し、ネオニコチノイド系農薬は神経伝達を撹乱する機能をもつ人工化学物質として断罪している。有機リン系の農薬も同様の機能をもっている。

 それは昆虫にだけ現れる症状ではなく、農作物中の残留農薬や家庭で使用される殺虫剤に含まれる有機リン系農薬はADHD(発達障害・注意欠陥、多動性障害)を引き起こす。また、過去20年間で児童の喘息発生率が3倍になり、ダウン症、水頭症、尿道下裂などの先天性異常が1970年代と比べて2倍、発達障害も急増している。アメリカの小児学会は「子供が農薬に曝露されることは可能な限り制限するように」との声明を出している。

 アメシロ駆除に使用されるスミチオン(フェニトロチオン)は有機リン系殺虫剤である。過去には千葉県でフェニトロチオン複合剤散布直後に水田に入った農夫が死亡した事例や、茨城県で住宅のダニ駆除にフェニトロチオン製剤を使用したところ一家全員に中毒症状が生じ、5歳の女児が死亡した事例がある。

 このように考えると、たかが街路樹のアメシロ如きに、農薬を散布し、自然の生態系を破壊し、人類の将来までも危機に陥らすことはないだろう。農水省・環境省は「住宅地等における農薬使用について」という通達を出しているが、農薬の影響を受けやすい子どもたちのことを考えると、公園やグラウンドなど公共の広場での農薬を全面禁止すべきである。

 アメシロ対策に必要なことは、薬剤散布ではなく、高枝ばさみで巣網を切除すればいい。高枝ばさみが届く5メートルまでのアメシロは確実に駆除できるし、その上部分は天敵にお任せでいいのだ。

 (写真はアメシロ薬剤散布作業:こどもたちの通学中に薬剤散布が行われている)
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