フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

物事は分からない方が得てして色々語れるもんだけどな

2019年10月29日 21時42分38秒 | つぶやき
台風や大雨により八ッ場ダムが注目を集めた昨今、いやあ、賛成派も反対派も皆さん机上の空論ばっかりで心に届かないことこの上ないな。試験湛水中の出来事だけ見て賛美してもしょうがないし、さりとて水量調整を軽視して、数字の印象だけでとにかく文句言いたいだけの意見も胸くそ悪いし。まあ、確実なのはそんなことを偉そうにマスコミで語る奴らは利根川沿いに住んでもいないし利根川の様子を見にすら行ってないだろうなってことだけでな。

んで、台風通過後の暇な時間に日本有数の廃道サイト、「山さ行がねが」をつい熟読していたんだけどね。いやあ、いつ読んでも、何回読んでも面白いな、このサイト。
んで、ここに「千頭ダム」が出てきましてね。ダムマニアの間でもなかなか行けないダムとして知られてる。アクセスは最寄りの駐車場から徒歩11キロとなる。
んでこのダム、実は一時期マスコミに取り上げられた。日本一堆砂の進んだダムとして、その堆砂率98%と言う数字とともにね。
このニュースについては当時はそれなりにセンセーショナルなニュースとして一般知名度もあったな。国のダム政策の無策を糾弾する意味合いで語っていた人も多かったかもね。つーかいまだに議員さんあたりがよく分からずに使ってたりするのも目にするな。
ダムというのはマニアが存在するとは言え、詳しい人の絶対数が少なく、実はその種類や用途に関して詳しい人は少ないし、知識のある人も少ない。堆砂率に関しても、どのように算出するのか含めて正確に知ってる人はあまりに少ない。前述のように行きにくいにもほどがあるダムなんだが、98%と言う数字だけを鵜呑みにしてダムに行った人がいたら、ことによったらあっけにとられるかもしれないね。
ダムから見る湖面は、見渡す限り青々とした水を湛えているだろうからね。
そもそも堆砂率の数字が紛らわしいんである。98%となれば、一般的にはダム湖の容積の98%と考えるところだが、そもそもダムの堆砂率とダム湖の容積はあんまり関係がない。
一言で言えば、ダムを作る際に計画した「計画堆砂容量」に比べてどれだけ砂が溜まっているかを示す値が堆砂率となる。ここまでの説明だと、じゃその「計画堆砂容量」がダムの堆砂の限界点なんだろ、とも思える部分があるけれどもこれも違う。「計画堆砂容量」は100年間で堆積するすると予想される土砂の容量を示しただけで、ダムの機能とかそういうものとは直接的には関係ないのね(勿論それを念頭に置いて設計するんだから間接的には関係はある)。
だからダムの設計や用途によっては、堆砂率が100%超えたって別に問題がない、なんて事態は当然起こる。ついでに言えば、予想のとおりなら何をしなくてもダム建設後100年経てば堆砂率は100%になる。50%超えてるダムが沢山、なんて新聞記事では一律で騒いでいたが、例えば建設後100年経ってるダムが堆砂率60%なら、むしろそのダムは堆砂率には余裕がある、ってこと。
で、件の千頭ダムは発電用ダム。水の量というよりは、取水口と発電所の高低差の方が命なので、水の要求量に対しては貯水量の余裕があり、現時点では堆砂はそれほど問題になっていないわけでね。ちなみに千頭ダムは建設後70年以上の古株のダム。なのでまあ、それなりの堆砂率になるのは当然と言えば当然と言うことでね。
とは言え、急峻な地形を多く抱え、河川整備や砂防に他国に比べ多くの対策を要する日本であるから、ダムの堆砂に関しても対策が要らないわけじゃないのでね。前述の千頭ダムも今のところは問題なくても、ダム湖のほとんどが埋まってしまえばさすがに機能不全を起こす。今後どう対策を取っていくかは関係者の課題であることは間違いないわけさ。ただ、今すぐ必要と言うことでもないし、ダム単体が機能不全を起こしても、機能をフォローできる別の施設があれば、そのダムは埋まっていても別段構わない場合だってある。要は、それぞれのダムの利用方法に従って、粛々と対策を取ればいいわけさ。数字だけ見てギャーギャー騒いでも意味はない。

・・・とまあ、そのあたりまで語ってまで、問題の本質に迫れるんだがね。ダム堆砂率、と言う数字一つとってもこんな風に結構奥深い話になるので、みんなもマスコミに踊らされることなく報道の裏にある事柄を自分で勉強しておこうぜ。
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