なんかもういきなり歩き出してますけど、現在国道291号群馬側は、谷川岳ロープウェイの麓側の駅のある「谷川岳ベースエリア」までしか乗用車が乗り入れできない。昔は一之倉沢(現在の国道としての管理もここまでみたい)まで車の乗り入れ出来たんだけどね。ただ道幅狭いし歩く人も多いしで相当な危険箇所だったのよね。なので乗り入れ禁止は正直しょうがないと思うな。昨今は環境保護も重要視されるしね。今でも一ノ倉沢までは路面は舗装されてるし、こんな感じの気持ちのいい遊歩道って感じですけどね。
今回は目標を決めず出来るだけ国道を奥まで辿り引き返してくる計画。メタボ中年たるぬたりは、ハナから峠までなんて行けるわけないと考えており(コースタイムは6時間以上)、スタートも9時とお世辞にも早くない。正直そんなに奥までは行けないだろうな、という予想があった。道荒れてるらしいし。
ベースプラザから歩きはじめると、まず眺望が開けるのはマチガ沢という沢筋。多くの人が「おお、絶景」と足を止めそうな感じの谷川岳の雄姿なんだけど、写真だと伝わらないな。その割に今回のネタは写真がやたら多くなりますが。
マチガ沢を過ぎても引き続きの舗装路面。実際このあたりはまだ正式に現役国道のはず。
現役国道のはず…。
間もなく谷川岳では有数の大きい沢筋、一之倉沢が近いというところでこんな看板見かけた。風穴みたいなもんですね。早速道の山側を歩いてみましょう。
・・・よくわかんねえ。涼しい風邪が来て・・・るかなあ?
そして一之倉沢からの眺め。ホントもう写真だと伝わらねえんだよなこの迫力。
で、実際絶景スポットなもので、ここまでは観光客用に小さな電動バスで来ることもできるのね。なのでド平日の当日でも観光客はそこそこいた。
沢に関してはこんな感じに渡る。振り返って撮影してます。
渡った途端に未舗装に。雰囲気は出てきたな。多くの地図によるとここからが点線国道部分の始まり。廃道探索とすると、いよいよ、って感じですね。
で、ここにあった遮断機の曲がり具合はいったいどうしたもんか。やっぱり雪の重さかしらね?
そしてこのあたりの道路脇の岩壁にはなにやらプレートが設置されている。実はこれ、谷川岳登山で亡くなった方の遺族や知人が故人を偲んで設置したもの。
谷川岳が多数の遭難者を出している、という話は、実は岩壁を登るロッククライミング(アルパインクライミング)での話。もちろん100%安全な山登りは存在しないが、通常の登山ルートであれば、谷川岳は特異的に危険な山という訳ではない。なんだったらロープウェイで途中まで上がれるし。
そんな中、先ほどの一之倉沢からの写真で見ていただいた岩壁を直登するアルパインクライミングとなると、ルートによっては世界屈指の難易度を誇るようになるので、これが谷川岳が多くの人命を飲みこんできた要因となっているわけですね。ここだけではなく、ベースエリアの近くには大きな慰霊碑もある。心の中で手を合わせつつ、厳かな気持ちで歩を進める。で、その直後、
路傍に石垣発見だぁー!(あっという間に有頂天)
組み方的にかなり古いものなのは間違いなく、ほぼ埋もれかけていることからも、明治期の石垣の可能性は高い。別にここで有頂天にならなくても、もうしばらく進めばもっと大規模に残っている場所(看板もあり)もあるんだけども、予期せぬところで見つけると嬉しくなるよね。
それがここ。
結構大規模に残ってる。うんうん、これは廃道好きなら文句なしに楽しめるわ。何しろ明治10年代の石垣。
近づいて積み方を観察したりもできるよ。苔生し方が芸術的だ。
スタート地点から4.2キロ、一ノ倉沢から1.1キロで幽ノ沢。幽霊の幽じゃなくて幽玄の幽が名前の由来の様ですが。
沢筋からは山が良く見える。何処から見ても絶景である。
幽ノ沢を越えたら、地形の険しさが良く分かるこんな風景に。道も轍が寂しくなりつつあるけど、それでもまだ車が入っている様子はある。このあたりはもう長年一般車両通行不可のはずなんだが。
そして分かれ道(というか現状は枝道別れ)。真っすぐが旧国道で何やら掲示物がぶら下がっている。右に折れるのはこの先の道路決壊を受けての迂回ルート。旧国道の路盤は決壊してはいるものの、歩きなら通れなくはないため、通行止めにはなっていない。
健脚者向けだそうですが。
国道側にぶら下がっているのはこんな感じの掲示物。別に歩き通すつもりもないし、多分表示のある武能沢まで行けないと思うので迷うことなく直進。
九十九折があった。考えてみれば、ベースエリア付近以来だな。九十九は直後にもう1回あった。
こんな奥地にまで車の轍があった理由がやっと判明。JRの巡視路があった。こんなとこまでごくろうさまです。こうして日夜鉄路の安全の為に(まあ、ここに職員が来る頻度は多くないだろうが)JRの職員さんは頑張ってくれているわけですね。
まあ、連中はここまで車で来るんだけどな(ぬたりは歩きで2時間弱かけてます)
つづく