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「従米か愛国か」(1) 文科系  (題を変えました)

2013年01月03日 16時26分45秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など


1 前置き
 このブログをやり出してから7年間ずっと、一つの疑問があった。近年の世界情勢認識において誰が考えても最大の問題のはずだが、50年ぶりの冷戦終結後もアメリカの軍事力はなぜ減っていかなかったのかという問いだ。なんせ、リーマンショク以降も、世界の恐慌状態やますます深刻になる貧困層対策を尻目に、冷戦時以上の軍事充実ぶりである。世界の不幸の大本のひとつと述べても良いのではないか。これは日本にとっても最大の政治情勢問題なのであって、ここの正しい認識を抜きにしては日本のどんな政治・経済、社会問題も何一つ正確には分析できないという性格を有していると考えていた。そこへ格好の著者の好著が出て来たから、去年すぐに買って、読み始めていた。孫崎享の「戦後史の正体」と「アメリカに潰された政治家たち」である。前者は昨年8月、後者は9月の第一版第一刷発行である。悪書を読むのは人生最大の浪費と言うが、この著者と著作が僕の問題意識から言ってその正反対のものではないかと、まず示しておきたい。
 
 孫崎享はこういう人物だ。43年生まれで外務省に入省し、ウズベキスタンやイランの大使を歴任し、国際情報局長から、最後は防衛大学教授を務めていた。日本最高レベルの情報掌握者であって、かつ冷戦直後の93~96年にウズベキ大使を務めていたとなれば、冷戦後のアメリカ、その恥部などを最もよく知っている人物と言えるだろう。そういう人物が退職後の晩年に近くなって反米物を書くとすれば、これは一読の価値ありというものである。この2冊の本をしばらく紹介していきたい。

2 冷戦後の米最大課題二つ
 はじめに、冷戦後のアメリカと、その対日政策の始まりの部分を見てみる。以下『 』は、僕のエントリーでいつものように著作の抜粋だ。「戦後史の正体」第6章「冷戦終結と米国の変容」からとったものである。

 孫崎はこの章の書き出し近くで、こんな文章を引用している。後のアメリカ統合参謀本部議長コリン・パウエルが、議長就任の前年1988年春にソ連のゴルバチョフから打ち明けられた話なのである。
『「1988年春、ゴルバチョフは私に『将来私は冷戦を終わらせるつもりだ。あなたは新しい敵を探さなければならない』と述べた。『信じられない。しかし彼は本気だ』私は口にこそ出さなかったがこう思ったものである」(中略)
 米軍がこれまで維持してきた膨大な兵士や兵器は不要になります。ソ連を仮想敵国として作られてきた軍事戦略も意味のないものになります』
『こうした状況のなかで米国が考えるべきことは次のふたつです。ひとつは「ソ連が崩壊したあとも、われわれは強大な軍事力を維持する必要があるだろうか。もし維持しようとした場合、国民の支持が得られるだろうか」という問題です。もうひとつは「日本の経済力にどうやって対抗するか」という問題です』

 終戦直後の日本の戦後方向を、アメリカ、占領軍が途中から転換させ始めたというのは有名な話である。足腰立たぬように押さえつける方向から、冷戦に対して活用していこうと。そのためにこそ、天皇を中心とした戦前からの種々の体質なども、一定温存し始めたのであった。これは、戦後史の定説になっているはずだ。その時以来の、日本の方向転換が冷戦終結によってなされ始めたと、そういうことなのである。どんなふうにして?  (続く)

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3 コメント

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Unknown (1970)
2013-01-03 19:16:33
孫崎亨氏の評価は真っ二つなんであまり鵜呑みにするのもね。
こう書く以上、ワタシは眉唾派だが。
フラットに読んでも岸信介の評価等は目が点になる。又、彼が書く事が妄想で無く真実ならば、何故日本の大物政治家を捻り潰せるアメリカが彼を野放しにしてるのかな。
それ自体がおかしいよ。
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僕は僕の (文科系)
2013-01-03 20:20:03
 こういう人物に賛否2分は、至極自然なことでしょ。だから、賛否どっちが真実かの判断の方が、むしろ何よりも肝心なこと。これに中立なんてのは、むしろ不勉強な奴と見た方がよいほどだ。そして、僕は断然孫崎賛成派だね。

 僕は、このエントリーを孫崎氏の現状分析紹介の形を取っていますが、僕は僕でここ五十年、世界情勢をそれなりに考えてきました。それが僕の仕事でしたから。その骨子は、最近ここにも書いてきたとおり。今のアメリカは、富裕層と、この富裕層の源泉の一つ産軍政複合体が牛耳っていることは明らか。そして、彼らが牛耳るアメリカ政治が、日本を左右してきたこともまた、戦後日本の理の当然。

 こういう状況証拠からして、孫崎氏の話は真実です。あなたが挙げる状況証拠、「孫崎が殺されないこと」は、むしろこの本を書いた目的と見た方がよいのではないでしょうか。僕の状況証拠の方が断然優れているでしょうね。

 それに、僕はなによりも親米よりも愛国の方が好きですから。そして、まだまだこの日本、コスモポリタンは別にして、外国追随よりも愛国の方が勝つはずです。特に、日本権力者たちの親米は、出世のためばかり。そんな売国奴はまだ敗北必至のはずだ。たとえどれだけ今強いように見えても。


 
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アメリカが孫崎さんを (らくせき)
2013-01-04 15:27:02
殺す必要はないでしょう。
ある意味、アメリカにとって当然のことを
言っているだけだから。
国益に沿った行動を考えれば
アメリカの考えは、孫崎さんのいう通りでは?

なお、アメリカのなかには様々な流れがあるから
孫崎さんのいうこととは別の流れもあるでしょう。
親日派もあるはずです。
彼らは違った風に考えているとしても
それはアメリカの国益を第一に考えてのこと
である点では同じでしょうが。



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