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寺島実郞「21世紀・未来圏の日本再生の構造」の紹介 その3 文科系

2024年01月17日 07時11分19秒 | Weblog
 寺島実郞の月刊誌「世界」連載論文紹介の3回目だ。論文自身の題名は「21世紀・未来圏の日本再生の構造」で、今回の副題は「アベノミクスからの決別とレジリエンス強化の産業創生」である。この場合のレジリエンスとは、経済大目標・構造の耐久性のことである。ここでは、日本経済沈滞、アベノミクスの反省の上に立って、これからの主流経済方向なども提起されている。


 反省はこういうことである。
「米国流金融資本主義の世界化を『グローバル化』として受容してきたが、我々はその結末を観る思いで『格差と貧困』により荒廃した世界とバンデミックと戦争による途方もない数の墓標を見つめている」
 その上で資本主義とは本来、強欲だけの卑しいシステムではなく、合理主義に立つ技術革新・生産性の探究(いわゆる、イノベーションがこの象徴)として、もっと逞しい耐久力のあるものであったいう「倫理性・規範性」が説かれる。今あるべき資本主義とは、どんなものであるか? アベノミクスの反省は置いておいて、それ自身を紹介しておきたい。このままでは、アベノミクスが荒廃させた日本のGDPは、今年ドイツに抜かれ、26年にはインドにも抜かれる、と。


 まず、中央銀行の主体性を再確立せよと述べている。そのうえで寺島は20世紀日米の経済土台であった「自動車」に代わるような分野として、彼が属する「日本総合研究所」の二つの研究課題をこう論じていく。「医療・防災産業創生」「都市型農業創生推進」である。
 
 医療・防災産業は、こんな構想だ。
「全国の道の駅を防災拠点化し、防災力を高めるための高付加価値コンテナの配備を進めようとしている。レジリエンスの基盤は電気、水、食料、避難所など。移動可能な大型コンテナの中身は、太陽光創電、蓄電コンテナ、海水・泥水を飲料水化するコンテナ、食の備蓄、トイレ・シャワーの水回りコンテナ、医療・歯科医療用コンテナ」などとあった。

 次に「都市型農業創生」「食と農」は、日本のこの自給率の悪さを前提として、取り上げられていく。
「食は、『生産、加工、流通、調理』というバリューチェーンを動く。この過程に都市住民をより深く参加させ、食の付加価値を高め、産業のファンダメンタルズを安定させることが重要となる」

 そしてもうひとつ大目標として最後に付け加えられているのがこのことだ。
「もう一つ、日本人の叡智を深めるために『教育・文化』産業の重要さに触れざるをえない」




 最後に僕の感想だが、人類経済、発生期の資本主義が持っていたイノベーションなどの「逞しさ」、倫理性が、なんと貧弱なものになっていたことかという感想を持った。「金融資本主義」なんて、自分の株価総額を観て悦に入っている人々の単なる強欲だけじゃないか。

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