4月1日エントリー「プロ野球のプロレス化?」に、大谷翔平についてこういう文章を書いた。これに関連して日本往年の大打者二人のこんな言及があったので、これを紹介してみたい。
先ず、僕の1日エントリーでは、大谷翔平のバッティングについてこう書いた。
『 一度大谷翔平のバッティングを観てご感想をお聞かせ下さい。あれはホームラン狙いに偏ったフォームであって、今後これが続けば年間打率にしたら2割6分程度にしかならないように思うんです。強く叩くのはよいのですが、低いボールなどは特にすくい上げている事が分かる。本物の野球人・野村克也が観たら、文句タラタラじゃないでしょうか』
そして、スポニチアネックスのネットに、往年の大打者落合博満と掛布雅之との対談があって、こんな記事があった。
『 大リーグではフライボール革命として、アッパースイングする打者が増えている傾向がある。このことを指摘されると、落合氏は「ホームランということだけを考えればいいけど、下から振るということは点でボールをつかまえるということだから。線でボールをつかまえるという打ち方じゃないのよ」と空振り数も増えることを指摘。そのうえで「日本でやるのであれば、ある程度、上から振り下ろしていく風に直してもいいんだろうけども。それで彼(阪神で注目を集めたルーキー佐藤輝明内野手(22)。去年の前半大活躍したが、後半に急失速した)の特長が無くなっちゃったら怖いんだよ」と、一長一短あることに思案顔を浮かべ、掛布氏も「怖いですね」と同調した。
同じようなアッパースイングの打者としてMVPを獲得した大谷の名前も出たが「彼はあれで結果を残しているんだから、あれでいいんですよ」と別格としながらも「ただ、他の人にあの打ち方しろとは言わない」とも話していた。』
さて、落合は「結果を残しているんだから、あれでいいんですよ」と大谷を弁護したが、「ホームラン狙いの打者」に厳しい野村克也であれば違う反論をするだろうなと考えていた。キャッチャー出身の野村なら、大谷のアッパースイング・ホームラン狙いの「低いボールを下からすくい上げて点で打つ」癖を利用して、彼のバッティングフォームを乱す攻略法をひねり出すのではないだろうか。ちょうど、去年の阪神・佐藤に対戦する投手たちが後半戦には急失速させたように。
アメリカの「フライボール革命」とやらが、「本物のスポーツとして」なら今後も続けられるとは思えない。物理学的に不合理なフォームというのは事実なのだから、投手がこの不合理を衝けないはずはない。高く高く上がったホームラン狙いの人気第一(を関係者が協力し合って盛り上げていくスポーツ)とするならともかく、スポーツゲームとして勝つことを追求する野球のフォームとしては邪道なのだと、やがて示されなければおかしいと思う。アメリカでは示されなくとも、日本と対戦するとぼろが出るとか・・・。ちなみに、落合の大谷についてのこの言葉も、僕には外交辞令だとしか思えない。現にアメリカ野球は弱くなっているのだから。
アメリカ野球現在の「フライボール革命」って結局それじゃないか。目先の満員御礼ばかりを追っかけているうちに、営業が先に立ってスポーツを捨て、やがて廃れていく?