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書評 「習近平と米中衝突」①、 その「舞台裏」一端   文科系

2018年11月21日 09時02分26秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 書評 「習近平と米中衝突」 その「舞台裏」の一端


 米中衝突について、日本では米側の情報、言葉しか入ってこない。この衝突舞台が米側情報だけで描かれているということだ。この衝突の実態を「中国からも描いた」格好の本がこの11月10日付で出た。NHK出版新書『習近平と米中衝突 「中華帝国」2021年の野望』(近藤大介・「現代ビジネス」コラムニスト、明治大学講師)である。「中国側からも・・」と括弧を付けた理由は、「中国の内幕」を描いて既に手垢が付いたような憶測断定表現、命題が多すぎるから。つまり、学術的な本とは言えないということだ。が、中国側の言葉がとても多く納めてあって、それが読めるという点で時宜を得た、貴重な書といえる。流石に、元講談社北京副社長という肩書きを持っているだけのことはあると思いながら読んだ。その中のたった一節を今日は紹介してみよう。
 以下は、中国中央銀行総裁に当たる、中国人民銀行行長・易鋼氏がこの4月11日に米中経済衝突について中国側の見方と今後の関連方針を発表した後の、記者団との質疑応答を一連の言葉として、近藤氏がまとめた内容である。

『 「世界ナンバー1とナンバー2の経済大国として、中米間の貿易不均衡問題は、比較的複雑だ。第一に、構造的な問題で、多角的な視点が必要だ。中国はアジアの産業チェーンの末端に位置しており、日本や韓国、台湾から部品を輸入して、中国で完成させた後、アメリカに製品を輸出している。そのためこの問題は、アジア全体を巻き込むことになる。
 第二に、マクロ的問題だ。現在、アメリカの財政赤字は拡大していて、財政赤字が増えるほど、アメリカ社会の格差も広がっていく。そのため、アメリカの貿易格差の問題は、なかなか解決が難しいものなのだ。
 第三に、貿易を見る際には、モノの貿易だけでなく、サービス貿易も見なければならない。中米のサービス貿易における中国側の赤字は急増していて、昨年の赤字額は380億ドルを超えた。そのため、モノとサービスの貿易を合わせると、両国の貿易関係はトントンに近い。
 最後に、アメリカの多国籍企業は中国で多くの製品を売っていて、その利潤は莫大で、これらも考慮すべきだ』(135ページ)

 どうだろう。例えば第二の主張点などは、アメリカの困難への当てこすりに聞こえるし、第一、三の点に関しては「日本も大丈夫かい? ちゃんと自己主張しろよな!」と語っているようにも聞こえる。そして、全体としてのトランプの新貿易政策は、アメリカの強み、良いところはそのままで弱点は帳消しと、それもWTOなど国際慣行を全く無視したやり方と、そういうことなのである。そもそも日本のマスコミがトランプのそんな新施策にほとんど批判も付けずそのまま報道する姿勢こそおかしいと僕も思ってきたからこそ、この報告内容に快哉というわけだ。

 今のアメリカはもう自由主義や民主主義の国ではなくなっているというそこは問わず、中国の不自由や非民主主義だけを問題にしているわけである。従来の国際慣行から言ったら、こんな突然の保護主義への転換自身が大変な暴力的身勝手なのに。
 なお、アメリカはもう民主主義の国ではない。最近の大統領選挙にかかる無制限のような政治資金が、ごく一部の大金持ちの国家になったということを示している。


(②に続く) 

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-11-21 17:23:06
中国が、自由主義や民主主義の国だと?
相変わらず、サヨの理屈って、「最上でなければ、全部ダメ」なんだよね。
アメリカと、中国、どちらがより、自由主義や民主主義の国なんだろう?
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Unknown (Unknown)
2018-11-26 17:31:53
アメリカと、中国、どちらがより、自由主義や民主主義の国なんだろう?
返信する

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