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イングランド戦以降の代表ニュース(1) 文科系

2010年06月03日 12時12分20秒 | スポーツ
①長友佑都が、ウォルコット落選に引導
 最初の報告はこれだ。イングランドの新星・ウォルコットが代表を外れて、世界的大ニュースになっている。代表決定直前の日本戦に先発しながら長友に走り勝てず、時にはね飛ばされていた事が決定的だったのは明白。「長友とマッチアップしたのが不運だった」と、遅まきながら僕は言いたい。同じように170センチで同じような超スピードでも、長友は体幹強化マニアであって、日本で最も強い体を持っている特別な存在。速いとは言え、まだ21歳で同じ170センチのウォルコットが対抗できなかったのも、改めて考えてみれば不思議はないのだ。
 この長友、イングランド戦は確か、韓国戦と同じ右サイドバックを予定されていたはず。それが急遽左に換わっていて、驚いた覚えがある。すぐに、相手右先発をウォルコットと確認してのことであろうと納得したのだ。そして、興味津々で二人の対決に固唾を飲んだもの。岡田監督が「敵の一番速い攻め手に、日本の一番速い守り手をぶつけた」わけだから。
 これだけの強さとスピードで、さらにチーム1、2の運動量をも誇ると、長友にはそれだけの力がある。W杯が終わったら即、もう日本にはいないことになるだろう。ヨーロッパでも大活躍が保証されているような、素晴らしい選手だ。

②長谷部誠と阿部勇樹の台頭
 明日のコートジボアール戦以降も「ゲーム・キャプテン・長谷部」は、既定事実らしい。26歳と若い彼だが、最近の選手間討論をリードした「人物」であり、攻守ともに強く「選手たちの信頼も厚い」(岡田監督談)のだから、至極ナチュラルな成り行きと思ったもの。この彼、代表1、2の表現力もあるらしい。ちなみに、今の若者には珍しく本らしい本を読む、読書家なのである。上に述べた長友などは「マコ様々です」と尊敬を隠していないのだから、自分の渡欧のお手本にしているはず。長友の「体幹重視」もおそらく、長谷部に出会い、共鳴したこの2年のことではないか。長谷部はこうと語っている。
 「ドイツに行って最初にやらされたのは、軍隊式トレーニング。練習が終わるともう、何かする意欲が全くなかったという生活でした。次にやったのが、守備で競り負けないこと。この自信が出来て初めて、攻撃に取り組みました。最近は常に攻撃も狙っています」
 何度も言うが、一昨年度ドイツ優勝チームのレギュラーにして、その年、ドイツ「キッカー誌」選出ベストイレブンに選ばれた選手である。現在のドイツは世界8位ではあるが、イングランドと同様ほとんどの代表選手が国外に出ないからリーグの力量はベスト3前後をくだらないはずだ。長谷部の力は、それほどのものなのである。

 長谷部のこんな台頭は、僕にとってはまー既定路線。今年に入ってここでも「チームのへそ」と何度も述べてきた通りである。ところがここにいたって起きた阿部勇樹のクローズアップはもう、嬉しいサプライズ!
 このブログでも何回も語ってきたとおり、僕は阿部を長谷部に次ぐ「チームのへそ」と見てきたからである(3月23日、5月9日拙稿など)。長谷部は「少々前目の臍」、阿部は「後ろ目の臍」と、代表論で語ってきた積もりだ。以下、名監督シャムスカの阿部評をごらんあれ。イビチャ・オシムの秘蔵弟子、阿部勇樹とは、こんな選手である。

『(セカンドボランチ・長谷部はともかく)問題はファーストボランチ。ワールドカップでは、大きくて、強くて、うまいMF、FWが多い。こういう選手を抑えるには、守備のスペシャリストが必要。(中略)優秀なファーストボランチはJリーグでも少ないが、私のチョイスは阿部。ファウル無しに相手ボールを奪う技術があり、当たり負けしない。空中戦に強く、展開力もある』(3月23日、拙稿より)

 閑話休題。
 稲本も良いボランチだが、この長谷部や阿部以上に稲本を持ち上げ続ける日本のサッカージャーナリストが、まーなんと多いこと! いかに不勉強で、過去の自分の言葉、考えに拘り、酔っているかの見本みたいな体たらくと断定したい。そんな評論家たちの言葉など、今後一切信用しないことである。
 考えてみて欲しい。現在の長谷部はバイエルンが取るかも知れぬというレベルの選手。25歳頃の稲本に長谷部ほどの将来性があったなら、アーセナル失敗以降こんなにあちこちと渡り歩く人生など歩んでいるわけがないではないか。なお以上の言葉は、稲本に向けて言ったものではなく、彼を、阿部以上とか、長谷部よりも持ち上げるジャーナリストへの批判である。念のために。

③ここにいたって、岡田武史を意外な策士かも知れぬと、思ったこと
 阿部と今野、この2人を岡田は、代表候補からずっと落としたことがない、その事実からこう思った。ほとんどゲームに出していなかったのに、候補に入れられ続けた人物2人。今となってその理由を考えてみるに、これしか思い当たらない。
『対アジアなど、今は「得点力向上」オンリーで進んでいくが、世界相手にはいつか必ず「それプラス守備重視」の決断をするときが来るだろう。その時には、この2人が必要になる。この2人は、とにかく帯同して鍛え上げておこう。彼らが練習相手として伸びるほどに、我が攻撃陣も工夫が必要になるわけだ。ただし、通常ゲームの守備陣は今のままで、勝敗には拘るまい。言いたい奴には何でも言わせておけ』
 この推察はおそらく、事実であろう。そしてこういう策が正しかったか否か、全ては14日のカメルーン戦で証明される。明日のコートジボアール戦は、そのカメルーン戦のシュミレーションとされているから、本番を見るそんな視点、興味で今、僕は胸をわくわくさせている。
 選手たちが自主的な意思統一会議を何度も持ち始めたことだし、明日は勝つと思う。ゲームによって隠してもいた事を含めて、今までの全てを「初めて!」総動員させて。
 高い位置からの体も寄せ、足も出すプレス。それによるボール奪取から、2~3人が追い抜いていくフォローと少ないタッチでの繋ぎ。岡崎の飛び出し、本田の強引な突破・シュート、中距離シュートも「見えたら打つ」。先取点を撮ったら、一先ず攻めさせる。それも落ち着いて。相手が疲れてきた70分ごろから、改めて「プレス・速い繋ぎ・シュート」で、追加点。そんな改心のゲームが見てみたい。

 こんな「日本最強守備陣」はコートジボアールを、世界のエースの1人・ドログバを抑えることが出来るか。これができれば、カメルーンのエトーも怖くなくなる。エトーは柔。ドログバは、筋肉量がない日本人に最も苦手な剛、まさに猛獣である。



       (続く)
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