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随筆紹介 「犬のいる暮らし」(5)  文科系

2011年01月14日 21時30分00秒 | 文芸作品
【   犬のいる暮らし  五 Y・S

 今、大型の十三才になる老犬の世話、と言うよりは介護に明け暮れている。
 犬の老後も人とよく似ている。認知症も出始め、食べても何度も食事を催促する。性格も異常に頑固になってきた。失禁すると隠そうとするのか、自分のベッド近辺をぐちゃぐちゃにする。オムツや尿漏れパットは何度付け替えても外して食いちぎってしまう。
 オムツの材質は吸収しやすいゼリー状になっていて、濡れて破れるとまるでエイリアンのようにドロドロと化して床に張り付く。何度拭いても床のヌルヌル感は取れない。もう泣きたくなってくる。毎朝起きて、犬のベッドを見るのが恐怖だ。このごろは他人(ボブ)のベッドにまで移動をして同じことをする。ボブはさっさとリビングの一番上等なソファに移動をしてしまった。足腰の弱った老犬はソファへは上がれないのだ。

 ずいぶん昔、三十年以上も前に祖母が呆けて周りを手こずらせていたのを思い出す。徘徊して行方不明となり、あの時も地獄絵図のような時が何度もあった。
 まさか犬も同様になるとは思いもよらなかった。いま私は夜な夜な、徘徊する老犬に付き合い夜の街を歩いている。老犬はヨタヨタと歩きながら、時折嬉しそうに白内障の濁った目で私を見上げて尾を振る。まあ仕方ないか。こうなったらとことん付き合うよ。 (続く) 】


 ここがとっても良いでしょう。
『いま私は夜な夜な、徘徊する老犬に付き合い夜の街を歩いている。老犬はヨタヨタと歩きながら、時折嬉しそうに白内障の濁った目で私を見上げて尾を振る。まあ仕方ないか』
 合評会でぼくが評価の発言をした部分です。
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