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ドル世界は終わるが  文科系

2020年05月05日 21時03分43秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 5日の朝日新聞に独社会学者ヴォルフガング・シュトレーク氏の「グローバリズム さらに失速」という談話が載っている。「新型コロナ 揺れる経済」と名付けられたシリーズの一環記事のようだ。そこにははっきりと標記の事が述べてある。談話全体の末尾に全体の結論として。
『 世界での米国の地位はどう変わるのでしょうか? 「唯一の超大国として振る舞うことはもはやできません。米国は中国を対等なパートナーとして認めざるを得ない局面が来ます。それは、世界経済でドルが持ってきた特権を失うことも意味します。この1点だけでも、金融危機やウイルス危機を超える国内的な危機につながりうると思います」』

 さて、この見方についての僕の見解は、「ちょっとサラリと言い過ぎ・・・ドル基軸崩壊は、アメリカが中国(勢力圏)に対してもっともっとジタバタした後のことだろう」というものだ。証拠はこれだけでたりる。
 現に、ベネズエラやイランに再三戦争を仕掛けているも同然というアメリカは、何のためにこんなことをしているのか。「原油価格=ドル基軸世界体制」を維持するために血道を上げて来た世界戦略の一環なのだ。
「原油価格をシェールガスが採算できる範囲につり上げておくためには、原油埋蔵量1、4位の反米・親中ベネズエラ、イランの原油をどうしても世界から疎外しておかねばならぬ」
 今のアメリカの「希望の星」になり始めていたシェールガス企業がサウジとトルコが演じてきた原油低価格戦略によってバタバタと倒産させられているだけに、もう死に物狂いのアメリカ原油戦略なのではないかと観ている。
 さらには、コロナで「中国ウイルス」なるものに対して新たに起こし始めた「賠償問題」には、下手をすると「対中国制裁」とかの理由で戦争行為にさえ発展させかねない雲行きを直感する。

 

② トランプ・アメリカが保護主義へと強引に転じたことによって、冷戦終結前後から30年続いた米金融主導グローバリゼーション新自由主義経済世界は原理的には終わった。それは、世界大金融・ファンドが「株主利益の最大化」を計って、関税障壁などの国境や、世界各国国家による規制やを取っ払わせて、小さな政府を世界中の国に押しつけてきた結果の結末なのである。
 この世界体制について真っ先に反省、自己批判を始めたのがアメリカであるというのが、また歴史の皮肉だ。金融で世界を征服するつもりが、物経済をすっかり中国圏に奪われてしまい、世界的な米ブランド商品までが中国で作られるから、中国産品の禁輸をしたら返ってアメリカが困まり果てたと気付く始末。アメリカの労働者はまともな職をすっかり失ってしまった。その点でこそ、米経済界に今深刻な反省が起こったのである。

 まず、「こんなに早くアメリカの労働者が中国に仕事を奪われるとは全く予想外だった」と弁解これ努めているのが、グローバリズムの旗手経済学者とも言える、ノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマン。また、去年の8月20日夕刊には、こんな見出しの記事が載った。
『株主最優先を米経済界転換』?? 
 この記事の書き出しはこうなっている。
『米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」は19日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる』

 

③ さて、こんなアメリカにコロナが襲った。1000ドルの貯金もない世帯が4割以上というように、その日暮らしの不安定労働者が圧倒的に多く、無保険者も一割という国で仕事がとまったのである。世界有数のアメリカ感染者数、ダントツの死者数となってしまった、その上に。

 強引な保護貿易で時間を稼ぐ間に、中国世界貿易・台頭を止めるべくアメリカ死に物狂いの対中国「制裁」活動が始まるはずだ。これは、現米支配階層特有のマッチョ・ネオコン主義の必然というものである。化け物みたいな正副大統領と、あの国務長官、さらには無名のトランプをここまで押し上げたボストンティーパーティー一派、スティーブン・バノンらの行動は、世界に何をするのやら、想像を絶するアメリカ発大国際悲劇が、まだまだ続いてくる。日本マスコミだけ読んでいると次のような国際的なアメリカ不信は全く理解できぬと、そういうアメリカの無理押しが世界に見透かされた時代になっているだけに。

 昨年10月17日国連総会では、人権理事会理事国47国のうち14か国の選出が行われた。全加盟国193の秘密投票、過半数賛成で選ばれるものだが、中南米理事枠2か国に対して3か国が立候補してブラジルとベネズエラが選ばれ、アメリカが猛烈なロビー活動で押したコスタリカが落選した。

 また、同じく昨年10月29日、国連総会で人権問題を扱う第3委員会は、中国の新疆ウイグル自治区が少数民族ウイグル族などを弾圧しているとされる問題で、欧米や日本など先進国を中心とした23か国が中国に人権尊重を求めた。一方、2倍以上の54か国が中国の人権に対する姿勢を称賛。国際社会で影響力を増す中国を巡る対立の構図が浮き彫りになった。


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2 コメント

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この記事の価値 (文科系)
2020-05-19 18:23:08
 手前味噌だが、この記事の価値に匹敵するマスコミ記事は少ないと考えている。そもそも、エントリー末尾の「ベネズエラとウイグルを巡る国連情勢の報道のようなことを、世界情勢の焦点、米中対決と結びつけて解説した特集」がどの新聞、テレビで組まれているか。アメリカとの関係で、対中世界問題を日本で正しく報道するのはタブーという習慣がまだまだ続いているのである。これだけ情勢がはっきりしてきたのに、なのだ。
 エントリー冒頭のドイツ学者のようなことを語る人さえ、日本ではまだ全く持ち上げられない。今は、今の世界情勢は、こういう人物にこそ語らせるべきなのだ。中谷巌、水野和夫、進藤榮一、孫崎享らである。

 日本の国民1人当たり(購買力平価換算)GDPがわずか20年で世界一桁から32位に下がったことをこそ、日本マスコミは報道せよ。この結末が、50歳になっても結婚経験がない男性が4人に1人という現実を招いたのだぞ!
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対米お追従政治の結末 (文科系)
2020-09-09 12:01:08
 安倍は「日本を美しくする」と、どこでも言い回ってきた。が、彼のやったことは日本のかってない少子化・小国化である。
 アメリカが今散々苦しんでいるのが、中国相手の経済の空洞化。対するに、日本の空洞化はもう、20世紀末から激烈に起こっていたのである。これが全く問題にならなかったのは、マスコミにも責任がある。
 何が、「空前の株価」か?? 官製株価と言うだけじゃなかったか。その陰に、「貧乏すぎて結婚相手に選んでもらえず、50歳まで結婚未経験男性が4人に1人!」。
 この日本、正しい経済分析が一体どこに存在していたか。全部保守党が作った、偽情報だけがあふれた非人道の酷い国なのである。
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