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「森喜朗会長が怒ってます」で、Nスペ番組変更   文科系

2021年05月10日 15時10分29秒 | 国内政治・経済・社会問題

 以下の内容は、「森喜朗会長が怒ってます」から、NHKスペシャルのある五輪番組放送が2か月遅れになり、「世論調査」内容も変えられたという話である。種本は、岩波の総合雑誌「世界 6月号」の記事、「NHKと政治と世論誘導 公共放送の内部で何が起きているのか」。この記事が扱っている「誘導」内容は、二つあって、一つは去年10月29日の「クローズアップ現代 学術会議をめぐり何が?」について、もう一つは2021年1月24日放送予定の「NHKスペシャル 令和未来会議 どうする? 何のため? 今こそ問う トウキョウオリンピック・パラリンピック」。
 この前者は、放送前日夜から番組の急遽一部差し替えが行われた問題。この出来事は、この放映のつい3日前、26日「ニュースウオッチ9」に出演した管総理が学術会議問題質問を受けたことをめぐる例の「総理が、怒ってます」を直接引き継いだもの。後者五輪問題Nスペ放送は結局2か月遅れ、内容変更となったのだが、クレームの出所はやはりあの森喜朗氏。今度は、1本の電話「森会長が怒ってます」に始まって内部闘争があったというその経過記述を追ってみよう。

 この番組は 1月24日放送予定、出演者収録予定が17日。「森会長が怒ってます」から内部闘争が始まったのが15日。NHK世論調査の五輪関連結果が13日放送されたその内容を巡って、組織委員会からかかってきた1本の電話から始まった内部闘争だという。電話の内容は「世論調査の項目設定とまとめ方がおかしい」というものだが、2か月後に放送されたこの調査項目、内容は、森氏のクレームに従って修正されたものになっていたというのである。「開催」と「中止」と「さらに延期」の3項目調査であったものが、「従来通り行う」「人数制限で」「無観客で」「中止」と換わったのだそうだ。森氏は「さらに延期」が「中止」の方に引き寄せられていたと抗議して、変更後には「開催」のほかに、「条件付き開催」が二つも加わっているわけだ。その意図は明らかであろう。

 さてNHKがこれでは、このことに初めて合点がいった。五輪強行開催の雰囲気が、国民の7割反対を押しきってじわじわと増進され続けてきたわけである。公共放送にこんな圧力が掛かるのでは、民放は推して知るべしだろうから。なにか、イラク戦争前のアメリカに似た放送界だと感じざるを得なかった。ただし、今の五輪「期待」?は、イラク戦争直前におけるアメリカ「世論」の支持熱狂ほどのものは到底観られないのであるが。専門家らの声で「中止の検討」も始まったようだが、最悪の発病者数などから当然の動きと思う。無観客開催など論外だし、ワクチンがこれだけ遅れては老人の大量見殺しに繋がるようなものじゃないか。

 政府という権力者が世論を誘導し始めるなどは、歴史上碌な事がなかった。その権力維持のための政治に傾いていく必然性があったからだろう。近代以降の国家、その憲法は、国家が国民に果たすと約束したその諸諸権利を描いたもののはずだ。国家は、国民世論の後から付いていくべき存在に過ぎぬということである。


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