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サイケおやじの生活と音楽

青春の旅路を行くガーファンクル

2009-05-27 10:50:56 | Simon & Garfunkel

青春の旅路 / Arthur Garfunkel (Coulmbia / CBSソニー)

1970年代初頭からのシンガーソングライターのブームは、つまり自作自演での心情吐露や内省的な歌の表現がメインでしたから、曲を書けないミュージシャンは些か分が悪い時代でした。

それでも楽器奏者、例えばジェフ・ペックのように卓越したギターの腕前があれば、それを逆手にとった活動も注目を集めることが出来たのに対し、ボーカリストの場合はマイナス要因ばかりが……。

しかし、それに敢然と答えを出してくれたのが、アート・ガーファンクルでした。

ご存じのように、この人はポール・サイモンと組んだサイモン&ガーファンクルで大人気を獲得したスーパースタアにして、天才的なボーカリストですが、そのS&Gが1969年に超名作アルバム「明日に架ける橋 (Coulmbia)」を出して以降の活動休止からは、前述したシンガーソングライターのブームを察してか、映画出演ばかりが優先されていました。

もちろん俳優としても個性的なキャラクターは輝いていたわけですが、相方のポール・サイモンがS&G時代から引き続いて作る歌の魅力で発表する単独アルバムが、なかなかの評判を得ていた事実があるだけに、残念至極……。

当然ながらポール・サイモンのソロ作品を聴くほどに、アート・ガーファンクルの不在が強く惜しまれていたのは言わずもがなでしょう。

そして、ついに溜飲が下がったのが、1973年に発表された、アート・ガーファンクルの単独初リーダーアルバム「天使の歌声 / Angel Clare (Coulmbia)」でした。これは一説によると、制作に3年の月日をかけたと言われるとおりの、まさに珠玉のボーカルアルバムで、アート・ガーファンクルが自作の歌はひとつもありませんが、逆に選びぬかれた名曲が素晴らしい歌唱力で表現された、ある意味での「芸術」がぎっしり♪♪~♪

ですから収録曲の中からは「友に捧げる讃歌 / All I Know」が忽ちの大ヒットになっています。

そして本日ご紹介のシングル曲は原題「Traveling Boy」として、やはり同アルバムのA面ド頭に入っていた、実にドラマチックな名曲にして名唱♪♪~♪ 曲を書いたのはソフトロックの王道コンビとして評価も高いポール・ウィリアムスとロジャー・ニコルスですから、その楽曲の素晴らしさは聞かずとも納得される皆様が大勢いらっしゃると思います。

しかも、このシングル盤に収録されたのは、アルバムでは5分あったテイクを3分38秒に編集し、さらにボーカルを強調したニューミックスによる、所謂シングルバージョン! しかも、どうやら日本だけの特別仕様らしいのですから、たまりません。

実際、せつせつとして劇的に歌いあげていくアート・ガーファンクルのボーカルは絶品で、一度聞いたら完全に虜になること、うけあいです。

ちなみに前述したアルバム「天使の歌声」は、プロデュースがアート・ガーファンクル本人とS&Gでお馴染みのロイ・ハリーということで、完全に「明日に架ける橋」のサウンドを引き継いでいますし、バックの演奏でセッションに参加したのは、ラリー・カールトン(g)、ルイス・シェルトン(g)、ポール・サイモン(g)、ラリー・ネクテル(p,key)、ジョー・オズボーン(b)、ハル・ブレイン(ds)、ジム・ゴードン(ds)、ミルト・ホランド(per) 等々、超一流の豪華な面々♪♪~♪

個人的には1970年代最高のポップスアルバムのひとつだと、強く思っています。

そして聴く度に、アート・ガーファンクルは本当に歌が上手いなぁ~、と感動してしまいますねぇ~♪ それが、この特別にリミックスされたシングルバージョンでは、尚更に楽しめます。

如何にも当時というか、Have A Nice Day なジャケットデザインにも懐かしさがこみあげてくるようで、愛着があるのでした。

コメント
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