■僕の歌は君の歌 / Elton John (DJM / 東芝)
エルトン・ジョンって、今では奇抜なファッションとか、例のカミングアウトの衝撃とか、あるいは故ダイアナ妃への追悼歌のあれこれとか、そんなイメージが先立ってしまう皆様も大勢いらっしゃるでしょう。
しかしサイケおやじの世代にとっては、優れた作曲家であり、またポップス王道のロックスタアとして、とりとめのない活動の中にも忘れられない人だと思います。
本日ご紹介は、初めての大ヒットとなったエルトン・ジョンの代表曲をA面にしたシングル盤ですが、ジャケットに写るエルトン・ジョンの内省的なイメージと歌が見事に一致した優れもの♪♪~♪
シンプルな原題「Your Song」を幾分大袈裟に作った邦題もニクイばかりですが、これも昭和46(1971)年頃の我が国の雰囲気にはジャストミートで、初春から秋にかけてのロングヒットは、そのおかげかもしれません。
さて、エルトン・ジョンと言えば、当時はシンガーソングライターのひとりとして、そのブームの最中にデビューした印象も強いのですが、実は下積みの長い苦労人であり、現場主義のピアノの上手さから多くのスタジオセッションやライブステージでは縁の下の力持ちをやっていたのが、十代からの活動でした。
また同時に作曲家としての道も歩んでいたのは言わずもがな、自らも様々な場所で歌っていたわけですが、本名のレジナルド・ドゥワイトからエルトン・ジョンの芸名を使うようになったのは1967年頃で、きっかけとなったのが、作詞家のバーニー・トーピンと組んでからだと言われています。
そして2人は多くの名曲を生み出すのですが、この「僕の歌は君の歌」は特に素晴らしいと思います。
その内容は、歌しか書けない詩人、つまりイギリスでは貧乏人の代名詞という男が、お金も才能も無いから、愛する君のために歌を作って贈りますという、まさに愚直な心情吐露!
まあ、このあたりは、例えば叶姉妹なんかには笑われてしまうに違いないんですが、そこにエルトン・ジョンが珠玉のメロディをつけてしまえば、永遠のラブソングになるのです。
クラシック調のピアノ、それを活かしきったストリングの抑えた響き、さらにウッドベースの存在感の強さ♪♪~♪ また隙間をさりげなく埋めていく生ギターの使い方には、微妙にボサノバっぽい味わいもありますし、途中から入ってくる力強いドラムスを得てからの盛り上げ方も秀逸の極みだと感銘しますが、このアレンジを担当したのが、ポール・バックマスターという才人で、この人もエルトン・ジョンの大成功には必要不可欠でした。
そして、もちろん素晴らしいのがエルトン・ジョンの表現力豊かな歌唱でしょう。まさに自作自演の強みというか、心をこめて語りかける節回しの絶妙なフェイクはコーラス毎に味わい深く、今ではあまりにも有名になった曲メロが何時までも飽きないのは、エルトン・ジョンのボーカリストとしての実力の証だと思います。
今となっては、こんな歌は青春時代にしか通用しないわけですが、リアルタイムの十代だった私には世間の事も女の気持ちも、何ひとつ分かっていなかった頃でしたから、この歌が深夜放送のラジオから流れてくると、なんだか心がホノボノとして、さらにせつない気分になったものです。
それは今でも、ちょっぴり甘酸っぱい感傷として、サイケおやじの心の片隅に残されているもので、確かに今朝、「僕の歌は君の歌」を聴いていると、結局は今になっても世間の事や女の気持ちなんか、全然分かっていない自分に気がついて、思わず自嘲してしまうわけですが……。
ということで、名曲は何時聴いても、やっぱり良いというが、本日の結論です。
ちなみにB面に収録された「パイロットにつれていって / Take Me To The Pilt」はゴスペルロックの隠れ名曲として、これも私は大好き♪♪~♪ ただし歌詞の内容は宗教的でもあり、ニューハーブっぽくもあるようで、私には全くの理解不能なんですが、後年のエルトン・ジョンを思えば、妙に納得してしまうような……。いやはやなんとも、です。
Take Me To The Pilot も意味はまったくわからないながらも大好きな曲でした。
エルトンにかんしてはあれこれあれこれありますが素晴しい曲たくさん書いて楽しませてくれて、・・それだけで満足です。
コメント、感謝です。
そう、ソングライターは良い曲を書き、歌手は素敵なボーカルを聞かせてくれることが、まず第一です!
精神論や私生活等々をあれこれ言うのは、その後のことで、まず「歌」が良くなかったら、それもありませんからねぇ。
エルトンはアルバムも秀逸ですが、シングル曲で楽しむのも格別だと思います。
ところがこのレコード、見事なまでに傷だらけ。
でも傷の中からきこえてくる音を追い続けました。
あと「ダニエル」のB面「スカイライン・ピジョン」本当に好きです。理由はないんですが。
それでも一番は「僕の歌は君の歌」これだけは絶対なる真実です。
コメントありがとうございます。
誰がなんと言っても、初期のエルトン・ジョンの内省的な歌の世界は忘れられるもんじゃ~ないでしょう。
特にバラード系は、これからの季節にぴったりですから、急に聴きたくなってきました♪