OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

マッコイに救いを求める

2009-05-22 12:13:45 | Jazz

Inception / McCoy Tyner (Impules!)

自分の目下の悩みはジャズモードに戻れない事ですが、まあ、毎日の生活や人生の中では、それも小さい……。

とはいえ、本日は意を決して、このアルバムを取り出してきました。

マッコイ・タイナーの初リーダー盤!

録音は1962年1月10日、メンバーはマッコイ・タイナー(p)、アート・デイビス(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) という、コルトレーンのバンドレギュラーだった面々! つまりボス抜きセッションの雰囲気も強い趣旨には強く賛同してしまいます。

A-1 Imception
 いきなりアップテンポでブッ飛ばすアルバムタイトル曲は、もちろんマッコイ・タイナー自作のブルース♪♪~♪ 仄かなマイナー調が後年に顕著となる、如何にもマッコイ・タイナーらしい黒い情念を予感させます。
 そしてド頭からのパド・パウエル調が、今となっては意外かもしません。しかしセッション当時はそれが王道でしょう。さらにアドリブパートに入ってからのマッコイ流モード節にグッ惹きつけられるのは、ジョン・コルトレーンが神様になっていた時期にジャズを本格的に聴き始めたサイケおやじの世代には共通する「パブロフの犬」じゃないでしょうか。
 あぁ、この音符過多の垂れ流し寸前のスケール弾き、それでいて「お約束」の構成力、それを煽るエルビン・ジョーンズのポリリズムドラミングの素晴らしさ! そして底辺をがっちり支えるアート・デイビスの野太いベース!
 やっぱりジャズって、良いです♪♪~♪
 ついついボリュームを上げてしまいますっ!

A-2 There Is No Greater Love
 一転してお馴染みのメロディが心地良いスタンダード曲の演奏は、テーマ部分のピアノとベースの絡みとか、なかなか緻密なアレンジが効いています。
 そして軽快という、マッコイ・タイナーのイメージには似つかわしくない形容のアドリブパートが実に楽しく、それはシャープでヘヴィなエルビン・ジョーンズのブラシに後押しされ、何時までも聴いていたいモダンジャズ天国♪♪~♪ まさに「マッコイ節」が大サービスされます。
 またアート・デイビスの繊細にして豪胆なペースワークは、アドリブも本当に見事ですし、クライマックスでのエルビン・ジョーンズのドラムソロも、憎たらしいほどにキマッています。

A-3 Blues For Gwen
 これもアップテンポのブルースですが、こちらは相当に明るい雰囲気というか、例によってモードに浸りこんだ「マッコイ節」が全篇に網羅されていきますから、ドラムスとベースの存在からして、今にもジョン・コルトレーンの激情サックスが入ってきそうな予感が嬉しいところ♪♪~♪
 それは私のような者には避けられない幻覚かもしれません。
 しかしマッコイ・タイナーは決して露払いの立場ではなく、ここでは堂々のリーダーとして最後まで矜持を保っていると感じます。
 
B-1 Sunset
 B面に入っては、これもマッコイ・タイナーのオリジナルですが、ドラマチックなイントロから優しさが滲むテーマメロディの展開は、ちょっとスタンダード曲を改作したかのようなムードが結果オーライ♪♪~♪
 ゆるやかな黒っぽさが、そこはかとなく漂うメロディフェイクは、実は相当に濃密で、ビル・エバンスやウイントン・ケリーとは完全に異なるマッコイ・タイナーが独自の個性だと思います。そしてジョン・コルトレーンの名盤「バラード」での堅実なサポートも、これが出来ればこその証なのでしょうね。

B-2 Effendi
 これまた如何にも「らしい」、マッコイ・モードが全開の熱演!
 このスケールの響き、ふたつのモードを使ったアドリブ展開の分かり易さ♪♪~♪
 エルビン・ジョーンズの蛸足ドラミングに頑固一徹なアート・デイビスのペースも強いですから、気分は完全にジャズ喫茶黄金時代! ブロックコード弾きを多用して山場を作るマッコイ・タイナーに呼応して、ヤケッパチ気味のドラムソロに突入していくエルビン・ジョーンズという、それこそが熱いわけですが、そこからすぅぅ~っとフェードアウトしていく演奏のラスト部分の余韻も快感♪♪~♪
 流石のプロデュースだと思います。

B-3 Speak Low
 そしてオーラスも、これまた楽しいスタンダード曲の名演で、なんと言ってもテーマ部分でラテンビートを敲きまくるエルビン・ジョーンズが最高です。そして熱い4ビートのシンバルワークもっ! 自然にドラムスばっかりに耳がいってしまうですよ。
 しかしマッコイ・タイナーも負けじと奮闘! 動き過ぎる指先から弾き出されるフレーズのイキの良さは最高ですし、アート・デイビスのベースもアドリブパートの派手なケレンと健実なサポートのバランスが秀逸で、好感が持てます。

ということで、本日は苦し紛れのチョイスとなりました。

つまり個人的な「パブロフの犬」の力を借りなければ、もう、ジャズモードへの復帰は叶わないという危機感があるのですねぇ……。

まあ、別に無理せずに、ここは毎日を好きな音楽ばかり聴いていれば、おのずと道は開けるんでしょうが、そこは地獄の一丁目というか……。

実は告白すると、サイケおやじは数年前の一時期、ヘアヌードの巨乳グラビアとか見ると、なんか胸がいっぱいになって吐き気まで覚えていました。それも今は解消されていて、かえって好きなぐらいですが、なんかジャズに対しても、そういう時期なのかもしれません。

長い目で、今後ともよろしくお願い致します。

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