OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

笑顔が眩しいジャニスのライブ

2009-05-10 12:02:50 | Rock

Janis Joplin In Concert (Columbia)

1970年前後は、ある意味でロックの絶頂期だったと思いますが、その反面、ビートルズが活動停止……。そして優れたミュージシャンの死が相次ぎました。

特にジミヘン、ジム・モリソン、そしてジャニス・ジョプリン……。原因は悪いクスリと言われることも多いのですが、それはそれとして、この世に残していったものの大きさ、さらに閉ざされたしまった未来については、今も胸の潰れるような思いです。

そして死後に発売される未発表録音は、やはり大切な宝物でしょう。本日ご紹介のアルバムはジャニス・ジョプリンの死後、1972年に出されたライブ音源抜粋のアナログ盤2枚組LPですが、当然ながら正規発売を前提とした録音ではありませんから、雑然とした部分は否めません。

しかし、ここで聴かれるジャニス・ジョプリンの魂の歌は、彼女の死という悲しい事実をもってしても、それ以上にリアリティ溢れるドキュメントとして感動させれるのが、サイケおやじの本性です。

その中身は1枚目がビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーとしての1968年のライブがメインですが、一部には1970年の録音も入っています。

また2枚目は1970年6~7月のカナダ巡業からの録音で、これは後に映像作品の「Festival Express」として纏められたフィルムからの音源です。

A-1 Down On Me (1968年3月2日録音)
A-2 Bye, Bye, Baby (1968年4月12日録音)
A-3 All Is Loneliness (1970年4月4日録音)
A-4 Piece Of My Heart / 心のかけら (1968年3月2日録音)
B-1 Road Block (1968年6月23日録音)
B-2 Flower In The Sun (1968年6月23日録音)
B-3 Summertime (1968年6月23日録音)
B-4 Ego Rock (1970年4月4日録音)
 1枚目では、何といってもド頭の「Down On Me」が強烈至極! 力みが全くの自然体というジャニス・ジョプリンのシャウト&ソウルフルな歌唱、爆発的なギターソロ、さらにバンドのガサツなノリが一体化した、まさに奇蹟の名演だと思います。何故かヘタクソという烙印が押されている当時のビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーですが、いえいえ、ライブの現場ではテクニックよりも情熱の魂が必要と、こういうトラックを聴かされる度に思いますねぇ~♪
 そうした現場主義は、ジャニス・ジョプリンといえば、これっ! という「心のかけら」や「Summertime」も、彼女の出世作となった名盤「Cheap Thrills (Columbia)」収録のバージョンとはもちろん異なり、それよりも早い時期のバージョンということでも興味深々でしょう。これが実に熱い! 粘っこい! そしてグルーヴィなんですよっ♪♪~♪ やはり当時のリアルタイムな勢いと前向きな姿勢が最高です。意想外と思えるジャズっぽさも結果オーライでしょう。
 そういう部分は「Bye, Bye, Baby」でも楽しめますが、もうひとつの時代性として、ブルースロックの味わいも、なかなかにしぶといと思います。それがストレートに楽しめるのが「Ego Rock」で、これはその分野の立役者だったニック・グレイヴナイツとの共演ライブということもあり、尚更にグッと惹きこまれます♪♪~♪ あぁ、ぶる~す! 

C-1 Half Moon (1970年6月28日録音)
C-2 Kozmic Blues (1970年6月28日録音)
C-3 Move Over / ジャニスの祈り (1970年7月4日録音)
D-1 Try (1970年7月4日録音)
D-2 Get It While You Can (1970年7月4日録音)
D-3 Ball In Chain (1970年7月4日録音)
 2枚目は既に述べたようにカナダ巡業からのライブ音源ですが、ここでのバンドは彼女自らが率いたフル・テイルト・ブギ! う~ん、やっぱり凄く上手いですねぇ。
 ですからジャニス・ジョプリンも暴走寸前のバカノリ大会というか、その危ういバランス感覚が、ここでは結果オーライでしょうか。とにかく、この3ヵ月後の彼女の死を思えば、感慨深いものがあります。
 しかも「Half Moon」、「Move Over / ジャニスの祈り」、そして「Try」は遺作となったアルバム「Pearl」に収録のスタジオバージョンよりも、かなり早い時期のライブテイクということで、その荒っぽさや熱気が、実は相当に完成されていたという凄さです。
 蠢くベースがたまらない激熱リズムセクションとジャニス・ジョプリンの魂の歌が素晴らしく激突する「Half Moon」のド頭1曲だけで、全身がシビレます! そして我が国ではジャニスの代名詞ともなった「ジャニスの祈り」の刹那的な躍動感、さらに見事な緊張と緩和に熱くさせられる「Try」は、いずれも名演としか言えません。
 またジャズ&ブルース味が濃厚な「Kozmic Blues」やゴスペルロックな「Get It While You Can」のディープな歌いまわしが、これぞっ「ジャニス節」の真骨頂! 決して絶好調では無かったと思われるボーカルも、それが逆に枯れた味わいというか、せつなさや哀しみの表現と上手くリンクしていると感じるのは、サイケおやじだけでしょうか……。
 まあ、それもこの後の彼女の悲劇を知っていればこそかもしれませんが、その意味でオーラスの「Ball In Chain」では、なんと歌い終えた後にマイクを落としてしまうのです。それがボカッ! という音で入っているのですから、なんともアルバムの大団円としては強烈すぎますよ……。

ということで、これは聴いた瞬間から生涯の愛聴盤になると直感したほどです。

しかしそれは、リアルタイムではアルバムを買うことが出来ず、国営FM放送からエアチェックしたテープを長い間、聴いていたのです。

そして1974年、某輸入盤屋の開店セールで、2枚組なのに驚きの1380円で買えたという、当時としては信じ難い嬉しさに、歓喜悶絶でしたねぇ~♪

決して美人ではないジャニス・ジョプリンの笑顔が、これほど眩しいジャケットも最高ですし、これから彼女を聴いてみようとされる皆様にも、お勧め致します。 

コメント (2)
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