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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

地味でお洒落なマイルス・デイビス

2006-11-20 18:19:10 | Weblog

冷たい雨の1日でした……。車が不調で暖房ばかりが効きすぎるような……。

こういう時は、芯から暖まるような、このアルバムを聴きます――

The Musings Of Miles Davis (Prestige)

ジャズ喫茶でも滅多に鳴らない盤ですし、名盤ガイドにも、おそらく載っていないでしょうから、私にとっては長らくノーマークだった1枚です。

ジャケットも冴えないしなぁ……。ちなみに素肌に上着ってのは、お洒落なんですかねぇ……。

とはいえ、なかなか内容は素敵ですし、タイトルどおり、マイルス・デイビスの最も「らしい」部分が存分に聴かれます。なにしろワンホーン編成ですから!

録音は1955年6月7日、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、レッド・ガーランド(p)、オスカー・ペティフォード(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) となっていますが、実はこのセッションから一ヶ月半後に、マイルス・デイビスはニューポートジャズ祭で大ウケしたことから、大手のCBSコロムビアから契約話が舞い込むのです。

そしてその時にレギュラーバンドを結成するように要請されたマイルス・デイビスが集めたメンバーの半分が、ここですでに共演していたというオチが付いています。

ちなみにマイルス・デイビスが本当に組みたかったメンバーは、ソニー・ロリンズ(ts)、アーマッド・ジャマル(p)、オスカー・ペティフォード(b)、ジミー・コブ(ds) だったという、まあ、当時の超一流ばかりでしたから、無理からん話ではありますが、ここでのレッド・ガーランドとかフィリー・ジョーを聴いていると、失礼ながら怪我の功名以上のものを感じてしまいます――

A-1 Will You Still Be Mine ?
 弾語りの名人で作曲家としても天才のマット・デニスが書いた洒脱な名曲を、マイルス・デイビスは、当に本領発揮のマイルスっぽさで聴かせてくれます。
 それはハスキーなトランペットであり、歌心優先の思わせぶりも憎めないところ♪
 そしてリズム隊では、レッド・ガーランドの絶妙にタメが効いた伴奏がエロル・ガーナーのようなお洒落な感覚で、結果オーライ♪ フィリー・ジョーもスティックとブラシを上手く使い分ける芸の細かさを聞かせてくれます。

A-2 I See Your Face Before Me
 素晴らしい演奏! これしか言えないほど、マイルス・デイビスのミュートが心に染みいります。
 曲はスローなスタンダードなんですが、決してダレ無いリズム隊の緊張感も最高ですし、レッド・ガーランドのブロックコード弾きも優しい響きで、グッときます。

A-3 I Didn't
 威勢の良いフィリー・ジョーのドラムスに導かれ、マイルス・デイビスが初っ端から自由に吹きまくりです! もちろん所々で危なくなっていますが、得意のキメのフレーズがテンコ盛りという快演ですからねぇ~♪
 ただし残念ながらフィリー・ジョーが遠慮気味なんですねぇ……。あんまり叩くな! とか命令されていたのかもしれません。故に危なくなっている箇所では、オスカー・ペティフォードの助け舟が流石だと思います。

B-1 A Gal In Calico
 これがまた、このアルバムの目玉演奏という、軽妙なマイルス節がたっぷり楽しめます。なにしろミュートトランペットの魅力が全開していますし、テーマメロディをフェイクしながらアドリブに繋げていく妙技は、当にマイルス・デイビスだけの十八番でしょう。
 そして実はリズム隊が、けっこう乱れているんですが、マイルス・デイビスに引張られている雰囲気が、とてもジャズっぽい魅力になっていると思います。

B-2 A Night In Tunisia
 あぁ、これは、いったい……。
 せっかくオスカー・ペティフォードの強靭なベースが素晴らしいイントロをつけているのに、マイルス・デイビスが煮えきっていません。
 それはもちろん、ディジー・ガレスピーやクリフォード・ブラウンのように溌剌とは吹けないかもしれませんが、リスナーはどうしても比べてしまうんですよ……。マイルス・デイビスもジワジワとペースを掴んで、要所でキメのフレーズを入れたりしますが……。ただし後年の「死刑台のエレベーター」のサントラ音源のような雰囲気も出ていますから、これは不思議な演奏です。
 まあ、単純に選曲ミスじゃなかろうかと……。

B-3 Green Haze
 オーラスは即興的なスローブルース大会で、イントロから良い味出しまくりのレッド・ガーランドのブロックコード弾きにシビレます。
 するとマイルス・デイビスも、得意の思わせぶりがたっぷり出た「間」の妙技で、ブルース魂を聴かせてくれるのです♪ 背後で蠢くオスカー・ペティフォードのベースも侮れませんし、自在なテンポを生み出すフィリー・ジョーも素晴らしいと思います。

ということで、例のニューポートジャズ祭の大当り直前のマイルス・デイビスは、実は既に完成されたスタイルを持っていたという、その証のようなアルバムです。

しかもそれは、黒いファンキームードでは無く、洒落た雰囲気が濃厚な、つまり白人にもアピールすることが出来るスタイルだと、私は思います。前述のニューポートの客層は白人が多いわけですし、契約を申し出たコロムビアのターゲットも白人層だったのでしょう。

もちろんマイルス・デイビスは黒人としての誇りから、白人の客層をKO出来る演奏を心がけていたと思います。このジャケットが愛想の無いモノクロ写真で、全くリーダーの名前さえ入っていないあたりに、強烈な自負心さえ感じます。

日本人としては、そのあたりの感覚をイマイチ掴めないかもしれませんが、ここでの洒落た演奏、特に「I See Your Face Before Me」「A Gal In Calico」は永遠不滅の世界遺産として、末永く聴き続けられると思います。

ジャズ喫茶で鳴らない理由も理解出来ますし、自宅でシミジミと聴き入るには絶対の作品ではないでしょうか。

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西海岸ハード

2006-11-19 18:35:08 | Weblog

本当に今年は、身の回りで訃報が多かったと感じています。

仕事関係も含めると、なんとここまで、毎月なんらかの葬儀に列席していたという……。

あぁ、自分もそういう歳になったのかなぁ……。と納得とも虚心ともつかない溜息が……。

ということで、本日は仕事場に戻る車の中、これ聴きました――

Talkin' & Walkin' / Kenny Drew (Jazz West)

晩年は超人気ピアニストとして過ごしたケニー・ドリューも、駆け出し時代は一介の黒人ジャズピアニストでした。

しかしメリハリの効いた独特のタッチとネバリ、そしてディープな黒い感覚は、頭角を現した1950年代初期において、明らかに後のハードバップに直結する響きが濃厚という魅力的なものですから、その時代に残された録音こそが、ケニー・ドリューの真髄とするファンも大勢存在しています。

このアルバムは、まさにそうした1枚で、録音は1955年12月のLA! メンバーはジョー・マイニ(as,ts)、ケニー・ドリュー(p)、リロイ・ビネガー(b)、ローレンス・マラブル(ds) という、所謂ワンホーン盤になっています――

A-1 Talkn'- Walkin'
 ケニー・ドリュー作曲になっていますが、これといったテーマメロディは無く、初っ端からリズム隊だけでグルーヴィな演奏が始まるブルースです。
 もちろんケニー・ドリューのピアノからは晩年まで使い続けられたお約束のフレーズが連発され、本当に快適です。
 そして途中から参戦するジョー・マニイはテナー・サックスで奮戦! この人は白人ですが、なかなか黒いフィーリングもあり、テクニックよりは味で勝負するタイプでしょう。当時の西海岸ではトップを張っていたひとりでしたが、残念ながら早世しています。
 またベースとドラムスも堅実で、ハードバップならではのコンビネーションの妙を聞かせてくれます。

A-2 In The Prescribed Manner
 これもケニー・ドリューのオリジナルという、素晴らしくカッコ良いハードバップです。秘められたマイナー調が琴線に触れまくりですし、弾むようなグルーヴがイケています♪
 アドリブ先発のジョー・マイニは、かなりシブイ雰囲気ですが、続くケニー・ドリューが本領発揮のメチャノリ♪ ビバップ系のフレーズに加えて、時折、ハッとするほど熱い美メロを弾いてくれますからねぇ~♪ 躍動感溢れる左右両手のバランスも最高です!
 またリロイ・ビネガーも、十八番のウォーキン・ベースの妙技から、ドラムスとのソロチェンジに持っていくところの上手さが絶品のスリルです。

A-3 Prelude To A Kiss
 お馴染みのエリントン・ナンバーを、ケニー・ドリューは最初からソロピアノでじっくりと聴かせ、後半になってからドラムスとベースを従えてテーマを弾くという、まことにニクイ演出をやってくれました。
 う~ん、それにしても後半で聞かせるテーマ変奏の上手さは、カクテルラウンジでの「お仕事」としても、また本格ジャスとしても一級品だと思います。つまり虫歯になりそうなほど甘くて、その甘さに溺れさせてくれないのです。

A-4 Wee Dot
 J.J.ジョンソンが書いたブルースを、バンドは一丸となって強烈なハードバップに仕立て上げていきます。
 なにしろリズム隊が快適そのものですから、フロントのジョー・マイニもノリの良いフレーズを連発していますし、続くケニー・ドリューは説明不要の「ドリュー節」を大放出です!
 さらにアルトサックスに持ち替えたジョー・マイニとローレンス・マラブルのソロチェンジが、これぞジャズの醍醐味♪

B-1 Hidden Channel
 これもケニー・ドリューのオリジナルですが、相当にエキセントリックなハードバップで、しかも猛烈なスピードで演じられます。
 アドリブパートでは、まずジョー・マイニがアルトサックスで鋭くブロー! 基本はもちろんチャーリー・パーカーなんですが、アート・ペッパー的なアプローチも出たりします。
 そしてケニー・ドリューは、これだけのスピードでありながら、全く乱れも淀みも無い凄まじいノリで、全篇を押し切るのでした。
 ローレンス・マラブルのドラムスも健闘しています。

B-2 Deodline
 またまた快適なケニー・ドリューのオリジナル曲で、ウエストコースト的なスマートなノリでハードバップのメロディを演じた雰囲気が、たまりません♪
 なにしろリズム隊が快適至極ですし、ジョー・マイニーも伸びやかに歌っています。
 そしてケニー・ドリューは、弾むようなタッチで極上ビバップフレーズの大洪水♪

B-3 I'm Old Fashioned
 お馴染みのスタンダード曲がスローで演奏されていますが、一人舞台を演じるジョー・マイニが、ややイモな雰囲気なのが残念……。丁寧に吹いているんですがねぇ……。

B-4 Minor Blues
 おぉ、これはっ♪
 ケニー・ドリューのオリジナルですが、後年、いろんなタイトルで演奏されているので、ファンならば一度は聴いたことがある名曲です。
 そしてケニー・ドリューのファンキーっぽさが、もう最高です♪
 サポートするベースとドラムスもタメのネバリの好演で、快適なテンポでありながら、当にハードバップという黒~い雰囲気が素晴らしいと思います。
 ジュー・マイニも、ちょっとJ.R.モントローズ風のノリとフレーズで頑張っていますし、リロイ・ビネガーのウォーキング・ベースソロの合の手で聴かれるケニー・ドリューのコード弾きも、興味深いところです。

B-5 Walkin'- Talkin'
 アルバムの締めくくりは、冒頭と同じ雰囲気のブルースで、タイトルどおり、つまりは別テイク的なお遊びが楽しいところです。
 ただし演奏は一層、黒~い雰囲気が濃厚で、ピアノトリオで演じられるパートの快適なグループは天下一品でしょう! あぁ、何時までも聴いていたいです♪
 そしてジョー・マイニも相当にこなれたフレーズを出していますから、なかなか和めます。

ということで、これは西海岸製のハードバップ!

ですから、例えばブルーノートあたりに残されている演奏と比較すると、どこかしら軽い感じが漂うのも事実です。しかし、その快適さがクセになるというか、妙に軽快なグルーヴがケニー・ドリューの真っ黒なフィーリングと絶妙な化学変化を起こしたような、まさにジャズ者には気になる1枚だと思います。

ちなみに現行CDはボートラ3曲、ついています。音もなかなか、良いですね。

 

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本日も休載……

2006-11-18 17:42:12 | Weblog
隣家主人、急逝のため、本日の1枚はお休み致します。

昨年から入退院を繰り返していましたが、昨日から容態が悪化していたらしく……。

かなりの高齢とは言え、やるせないものを感じています。

合掌。
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ミュージシャン御用達

2006-11-17 19:14:38 | Weblog

忙しくて、もう、どうにもなりません。何事もヘヴィになっています。

そこで本日は、ストレス発散というか、疲れるなら徹底的に疲れようという、これです――

For Musicians Only (Verve)

1940年代のニューヨークの片隅で、どうやら形を整えたアングラ音楽のビバップは、とにかく狂騒が特徴的だったようです。

そのあたりはR&Bやロックンロール、そして後のロックやヘヴィメタルに繋がる大衆音楽の大きな要素ですが、聴いている側にとっては、ある一線を越えるとシンドイものに他なりません。

しかし演じている側にとっては、止められない狂おしさがあるんでしょうかねぇ……。

このアルバムは、その点を鋭く突いた企画でしょうか、全篇が和みよりも狂騒に明け暮れた演奏ばかりで、タイトルがそのものスバリ!

録音は1956年10月16日、メンバーはディジー・ガレスピー(tp)、ソニー・ステット(as)、スタン・ゲッツ(ts)、ジョン・ルイス(p)、ハーブ・エリス(g)、レイ・ブラウン(b)、スタン・リーヴィ(ds) というオールスターズです――

A-1 Be Bop
 タイトルどおり、ビバップの狂騒を表現した曲調から、全篇が猛烈なスピードで演奏されています。
 先発はソニー・ステットがチャーリー・パーカーに挑戦したかのような鋭さでアルトサックスを鳴らしますが、若干、から騒ぎでしょうか……。
 しかし続くディジー・ガレスピーがミュートで急所をえぐるような熱いソロを聴かせてくれます。そしてスタン・ゲッツ! 意地悪く煽ってくるリズム隊の激しさをかわすかのようなクールスタイルの音色で、熱~いブローをたっぷりと♪
 そしてクライマックスはスタン・リーヴィのドラムスとのソロチェンジ! おそらく、たいていのリスナーは疲れるでしょう。何が悲しくて、こんな狂騒に付きあわねばならんのかなぁ……。

A-2 Wee
 と思うまもなくスタートするのが、これまたバカ騒ぎ的な演奏です。
 それでもアドリブ先発のスタン・ゲッツが滑らかでクールな熱さなんで、気持ちが寛容になるんですが、続くディジー・ガレスピーがイライラしたようなフレーズばかり吹きまくるので、いたたまれません。それはハイノートと急降下爆撃の繰り返しからなる展開なので、心の準備が必要なのです。
 またソニー・ステットが烈しすぎて、もう、ぐったりさせられます。
 しかし感心するのは、前曲でもそうでしたが、こんな猛スピードなのに全く乱れないリズム隊の凄さ! というわけです。

B-1 Dark Eyes / 黒い瞳
 B面に入っては、まずお馴染みのロシア民謡が、ディジー・ガレスピーのミュートトランペット、ハーブ・エリスのギター、レイ・ブラウンのアルコ弾きだけで、神妙にテーマ提示され、スローなここがなかなかに魅力的です。
 そして哀愁が強調されたテーマアンサンブルから、スタン・ゲッツが本領発揮のクールで熱いアドリブ地獄を聴かせてくれます。
 また、続くソニー・ステットもヒリヒリするようなビバップ魂で好演♪ するとディジー・ガレスピーはラテン感覚を入れた摩訶不思議な展開から、天空を引裂かんばかりのハイノート連発や思わせぶりの低音攻撃が見事です。
 そして締めくくりに出るのが、地~味なジョン・ルイスのピアノソロで、これが意想外の良い味になっています。

B-2 Lover Come Back To Me
 これも前曲と同じ手法で、まずディジー・ガレスピーがミュートで勿体ぶったテーマ変奏♪ すると一瞬の間を置いて、スタン・ゲッツが烈しくサビを吹きまくり、またまたディジー・ガレスピーにバトンタッチという凝った構成が、素敵です。
 そして本格的なアドリブパートは、ソニー・ステットが独壇場の激しさで、素晴らしく鋭角的ですし、ディジー・ガレスピーも負けじと猛スピードで突進! これぞ元祖ビバップというエキセントリックな部分をたっぷりと聴かせてくれますし、スタン・ゲッツは流麗にして実は危ないフレーズを連発して、ジャズの恐さを現出させてくれるのでした。

ということで、激しさばかりが聴きどころのアルバムですが、こっちの気持ちが入っていれば、痛快この上も無い仕上がりです。もちろん大音量ならば効果絶大なので、ジャズ喫茶専門の響きが濃厚です。

サウナで烈しい運動をして、疲れきって快感という、これはそんな1枚かもしれません。

実は私自身、これを自発的に聴いたのは、何年ぶりか定かではないのでした。

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ハービー・メイソンのシャープな4ビート

2006-11-16 18:55:50 | Weblog

なんか最近、仕事に追われるのが当たり前の雰囲気になってきました。

なかなか纏まって自分の時間が取れないし、夜は打ち合わせとか宴会で疲れきり……。

正直言って、酒を飲んでも酔わない体質なので、ちっとも宴会が面白くありません。だから芸やエロに走ったりするんですが……。

ということで、本日は我を忘れて聴き入ってしまう、これを――

Gerry Mulligan & Chet Baker Carnegie Hall Concert Vol.2 (CTI)

さて、11月12日に引き続き、本日は同名アルバムの「Vol.2」です。

「Vol.1」も名演でしたが、どちらかと言えば穏やかなノリでした。しかし、こっちはグイノリの熱演中心ということで、捨てがたい魅力があります。

録音データとメンツは「Vol.1」と同じですが、最初からのネタバレとして、チェット・ベイカーのボーカルまでもが楽しめます――

A-1 It's Sanday At The Beach
 なかなか勢いのある新鮮な曲で、ハービー・メイソンのシャープなドラムスとロン・カーターのベースのコンビネーションが冴え渡りのリズム隊が素晴らしく、テーマをユニゾンするジェリー・マリガンとチェット・ベイカーも初っ端かなノリノリです。
 もちろんアドリブも烈しく起伏のある難フレーズを吹きまくるジェリー・マリガンのバリトンに対し、ハスキーな音色で歌心を追求するチェット・ベイカーのトランペットが、新時代のハードバップになっていますので、観客からは割れんばかりの拍手が♪
 またボブ・ジェームスが真摯にモロジャズを演じるパートも潔く、ハービー・メイソンは要所で十八番のハイハット打ちを連発してくれますから、本当に快感です。
 そしてジョン・スコフィールドの正統派ジャズギターとデイヴ・サミエルスのヴァイブラフォンのメタルな響きが、また良いんですねぇ~♪
 クライマックスはもちろん、全員の壮絶な絡みから最後のテーマに入るという鮮やかさです。ハービー・メイソン、最高!

A-2 Bernie's Tune
 1950年代から西海岸派には必須のナンバーですから、ここでも軽快に演奏されますが、しかしリズム隊が鬼のような切れ味ですから、油断なりません。
 特にハービー・メイソンの4ビートは侮れませんねぇ♪ ロン・カーターとグルになった強烈なグルーヴには心底シビレさせられます。
 肝心のチェット・ベイカーとジェリー・マリガンは、2人とも荒っぽい表現になっていますが、それなりに迫力がありますし、時折、ハッとするほど良い感じの歌心も飛び出します。
 またジョン・スコフィールドは本領発揮の早弾きと極力抑えたアウトスケールのバランスが秀逸ですし、デイヴ・サミエルスは、またまた好演ですから、たまりません。背後を彩るリズム隊のお遊び的なリフも楽しいところ♪ ボブ・ジェームスだけが、いささか生真面目過ぎるのが減点かもしれません。

B-1 K.4 Pacific
 ジェリー・マリガンが書いた、ロックビートの変形のようなリズムパターンを使った不思議な曲ですが、緊張感に満ちた展開がジャズそのものの本質を突いていると思います。
 そしてアドリブパートは力強い4ビートで展開され、まずジェリー・マリガンがダークなフレーズの連発でエグミを発揮しているのが珍しいところ! 背後で暴れるジョン・スコフィールドのギターも危ないものを秘めています。
 さらにボブ・ジェームスが必要以上の音を使わない、省エネ風ピアノソロで鋭いところを聴かせてくれますし、ここでもハービー・メイソンが素晴らしいですねぇ~。ロン・カーターのベースソロを受けてのドラムソロまでもが、存分に楽しめます♪ これが素早いステックの回しとシャープなハイハット&シンバルのコンビネーションで、思わず聴いて悶絶の一瞬が最高です!

B-2 There Will Never Be Another You
 オーラスは、ついに出たっ! チェット・ベイカーのボーカルです♪
 これが本当に楽しそうで、けっこう、ハズシているんですが、憎めません。
 しかも、ここで突如、アドリブをとるのがトロンボーンで参加のエド・バイロン!
 そしてお待たせしました♪ チェット・ベイカーの歌心が満喫出来るトランペットが、たっぷりと! ハービー・メイソンの快適な4ビートも素敵です。
 またボブ・ジェームスは、ここでも美メロ主義の出来すぎアドリブでよす♪

ということで、あまりの快適さに我を忘れる瞬間が多発する作品です。

特にハービー・メイソンが、もう最高で、シャープなハイハット打ちを聞けるだけで、私は満足です! もちろんジェリー・マリガンのガチンコぶりとか、チェット・ベイカーの歌のサービスも忘れてならないものですが、この新感覚4ビートジャズをもっとやって欲しかったのが本音です。

ご存知のようにハービー・メイソンはフュージョン時代にはスタジオの仕事の他に、ライブ活動や自己のリーダー盤を出していますが、ここで聞けるようなモロジャズをほとんど残していないのは、時代の翳だったのかもしれません。

機会があれば、そのあたりを、ぜひとも楽しんでいただきたいアルバムです。

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なんとなく聴くLP

2006-11-15 18:52:22 | Weblog

近々、ネットオーションから海賊版商品が追放される噂がありますね。

ネット販売とかも規制されるとツライものがありますけど、実際問題として海賊版はイケナイものですから……。

ということで、本日はなんとなく、これを聴きました――

La Fiesta / Claude Williamson (Interplay)

フュージョン爛熟期~4ピート復活期には、ベテラン達からの久々の便りというようなアルパムが、時折ひっそりと発売されていました。

この作品もその1枚で、主役は西海岸派の白人ピアニストとして根強い人気のクロード・ウィリアムソンです。しかも演目が比較的新しめのジャズオリジナル曲というあたりが泣かせます。

録音は1979年8月6日、メンバーはクロード・ウィリアムソン(p)、サム・ジョーンズ(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という、存在感抜群のトリオです――

A-1 La Fiesta
 チック・コリア(p) が書いた説明不要のオリジナルで、スパニッシュモードに彩れた旋律が、限りなくジャズ者の琴線に触れまくる名曲です。
 ここでの演奏はクロード・ウィリアムソンが極めて正統派なピアノスタイルで真っ向勝負していながら、テンションの高いロイ・ヘインズのドラムスやサム・ジョーンズのグイノリ・ベースに煽られて、徐々に突っ込んだ雰囲気になっていくあたりが、スリリングです。
 その問題のロイ・ヘインズはドラムソロまで演じていますが、激しさと抑制のバランスが崩れそうで崩れない、微妙な違和感が魅力です。

A-2 The Love Of Child
 クラシックの小品のようなクロード・ウィリアムソンのオリジナル曲です。
 スローな展開で演じられるソロピアノの世界なんですが、意外に聴かせてくれますねぇ。クラシックの素養が感じられるピアノタッチが潔い響きです♪

A-3 First Trip
 ベースの巨匠=ロン・カーターが書いた、これも名曲ですが、初っ端からロイ・ヘインズのビシバシのドラムスが曲をリードして、クロード・ウィリアムソンの洒脱なピアノが冴え渡る名演になっています。
 ちなみにこの曲はハービー・ハンコック(p) のバージョンが有名なので、どうしてもそのイメージから逃れられない宿命とはいえ、このバージョンもそれなりに素敵な仕上がりだと思います。
 それはバド・パウエル直系のビバップスタイルを基調にしながらも、新しいフレーズやコードバリエーションを積極的に取り入れて進化した、当にクロード・ウィリアムソン、ここにありの証明です。
 演奏はクライマックスでロイ・ヘインズのシャープな変態ドラムソロもあって、溜飲が下がります。

B-1 In Your Quiet Place
 キース・ジャレット(p) が書いた泣きの名曲で、カントリーゴスペル味がたまりませんが、クロード・ウィリアムソンは、そこを大切にしつつも、正統派ジャズの手法で料理しています。
 もちろんサポートするサム・ジョーンズはツボを外していませんし、擬似ロックビートを叩くロイ・ヘインズのイモ寸前のグルーヴが、逆にイイ感じ♪ 本当に何時までも浸っていたい世界ですねぇ~♪

B-2 Nica's Dream
 ご存知、ホレス・シルバー(p) が書いたオリジナルで、モダンジャズでは決定的な人気のある名曲なので、幾多の優れたバージョンが存在していますが、これもそのひとつだと思います。
 まずクロード・ウィリアムソンがスローな展開で思わせぶりを演じ、続いてラテンピートでのテーマ提示が、やはり哀愁を誘います。ただしロイ・ヘインズのドラムスがヘヴィ過ぎるような……。

B-3 Black Forest
 オーラスは1950年代の同時期に、クロード・ウィリアムソンのライバルとして西海岸で活躍していた黒人ピアニストのハンプトン・ホーズによって書かれた、比較的新しめの名曲が、なかなか意味深に演奏されています。
 まず前半は思わせぶり、中盤からは快適な4ビートに方針転換♪ サム・ジョーンズの野太いサポートを受けてグルーヴィな展開となっていくのです。あぁ、こういう普通のノリが大切にされているあたりに、私はリアルタイムの発売当時、ワクワクさせられたものです♪

ということで、今となっては全然どうって事ない演奏かもしれませんが、なんとなく忘れがたいアルバムになっています。

ちなみにジャケットカバーはデビッド・ストーン・マーチンですから、現在ではオリジナル盤がジャケ買いの対象となっているとか……。

いやはやなんとも……、ではありますが、気が向いたらジャズ喫茶でリクエストしてみて下さいませ♪

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パリは燃えていたか?

2006-11-14 18:05:40 | Weblog

いよいよ年末というか、街にはクリスマスソングが流れていますね。

仏教徒の私のとっては気が早いとしか思えませんが、まあ、宗教的な部分よりも、ある種の高揚感を素直に楽しむのが、日本人としてのあり方かもしれません。

ということで本日は、一足早いクリスマスプレゼントのような、これです――

Paris 1959 / Art Blakey's Jazz Messengers (Impro-Jazz)

またまた凄い映像がDVD復刻されました。

それはリー・モーガンとウェイン・ショーターが揃い踏みしていた頃のライブ!

しかも当時のレギュラーピアニストだったボビー・ティモンズに代わり、一時的に在籍していたウォルター・デイビスの動く姿までもが拝めるのですから、これは驚愕です。

録音は1959年11月15日、パリでのライブ映像で、メンバーはリー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ウォルター・デイビス(p)、ジミー・メリット(b)、アート・ブレイキー(ds) という錚々たる顔ぶれです。

ちなみにウェイン・ショーターは、この欧州巡業直前の10月中頃からジャズメッセンジャーズに参加したと言われていますし、自身がニューヨークのジャズ界に本格デビューしたのも初夏と言われていますから、本当に初期の演奏に接することが出来るのです――

01 Blues March
 盛大な拍手に迎えられて、あのマーチテンポのドラムスが炸裂し、リー・モーガン&ウェイン・ショーターの名コンビが楽しいテーマをユニゾンする勇姿を見ただけで、感涙です♪
 アドリブ先発はウェイン・ショーターで、単なるブルースリックに落ちていない奇々怪々なフレーズを交えた悠々自適の演奏は、クールなカッコ良さがありますねぇ~♪ しかも本格デビューした時から既に、そのスタイルが完成されていたことが分かります。
 そしてアート・ブレイキーのマーチングドラムを挟んで、溌剌としたリー・モーガンがファンキーの嵐を巻き起こしますが、ウェイン・ショーターに負けず劣らず、これまた変幻自在なんですねぇ~!
 もちろんリズム隊も、お約束の足踏みビートを繰り出し続けて、強烈な煽りです。
 気になるウォルター・デイビスは、前任者のボビー・ティモンズのような烈しいブロックコード弾きは出しませんが、選び抜かれた単音弾きは充分にファンキーですし、寧ろ内に秘めたブルース感覚が潔いと思います。
 全体には挨拶代わりの演奏というところでしょうが、最後にフェードアウトしていくところでのアート・ブレイキーのエアステックが最高です。

02 Are You Real ?
 これも当時のバンドでは定番の軽快なハードバップですが、ウェイン・ショーターは容赦無く新しいフレーズを吹きまくりです。
 映像面ではアート・ブレイキーが嬉々として叩くドラムスの素晴らしさ! あのリックはこうして叩いていたのかっ! という真相が明かされます。特にステックの逆さ打ちは最高ですねぇ~♪
 そして、やっぱりリー・モーガン! 絶好調の物凄い炸裂ぶりで観客を熱狂させるのです。あぁ、ここを鑑賞出来ただけで、私は大満足!
 またウォルター・デイビスはビバップ丸出しのソロという展開ですが、ほとんど鍵盤を見ないで弾きまくりなんですねぇ~♪ バックを彩るゴルソンハーモニーも、心地良いお約束です。
 さらにクライマックスはリー・モーガンとアート・ブレイキーの爆裂ソロチェンジ! あまりの激しさにリーダーも我を忘れてしまったのか、ウェイン・ショーターには出番を与えず、ジミー・メリットにソロを命令してしまいます。
 こういう突発的な場面が見られるのも、映像作品の面白さですが、これにはウェイン・ショーターもスゴスゴと引き下がるのでした。そして肝心のジミー・メリットは、強烈なピチカートソロを聴かせてくれます!

03 A Night In Tunisia
 これまたジャズメッセンジャーズの十八番! もちろん初っ端からメンバー全員がパーカッションに持ち替えてリズムの嵐を作り出しますが、ピアノから立ち上がってマラカスを振るウォルター・デイビスが、たまりません。
 テーマでの2管の絡みのアンサンブルも最高で、例のブレイクから烈しく異次元に突っ込んでいくウェイン・ショーターと天空に駆け上るリー・モーガンは、モダンジャズ黄金期の証です! う~ん、リー・モーガンの血管がブチキレそうなんですねぇ~! 背後から襲い掛かってくるリズム隊も強烈至極です。
 そしてベースを中心にしながらビートのお遊びと刺激を繰り返しつつ、いよいよアート・ブレイキーが、暗黒大陸の火山噴火のようなドラムソロ! やや時間が短いのが残念という雰囲気ですが、否、やっぱり最高です!
 さらに最後にはリー・モーガンとウェイン・ショーターの無伴奏ソロが飛び出すという、まさにモダンジャズの地獄巡りなのでした。

04 Close Your Eyes
 軽快なアート・ブレイキーのリムショットがテーマをリードするハードバップで、独特のエキゾチックなムードが、たまりません。
 アドリブ先発のウェイン・ショーターは、そのあたりを考えすぎたかのようなフレーズを出し過ぎでしょうか……。それでも少しずつ自己のペースを掴んでいくあたりがスリリングです。
 しかしリー・モーガンは、ここでも好調♪ 思いっきり突っ込んだフレーズ展開で、あたりはハードバップ一色! もう呆れるほどの炸裂ぶりです♪
 ただし続くウォルター・デイビスが冷静過ぎるような気が……。まあ、それほどリー・モーガンが突出していると、ご理解下さい。
 それでもクライマックスではウェイン・ショーターが本領発揮で、アート・ブレイキーのドラムスと烈しく対峙しています! ジミー・メリットも力演!

05 Goldie
 ファンキーど真ん中の名曲・名演で、実はフロントの2人が参加して吹き込まれていたウィントン・ケリーのリーダー盤「ケリー・グレイト(VeeJay)」では、「What Know」という曲名になっていたダークなブルースです。
 アドリブパートでは、まずウェイン・ショーターが奇怪なフレーズの連発から熱い山場を作っていく構成力が流石ですし、リー・モーガンはミュートで応戦! するとマイクの位置が悪いので、すかさずウェイン・ショーターが直すあたりに、映像作品の面白さが堪能出来ます。
 そのリー・モーガンは、ここでもインスピレーション優先というか、思いたったら吹かずにはいられないフレーズばかりで、憎めません。
 またウォルター・デイビスの落ち着いたファンキー・フィーリングも聴きものです。

ということで、これは貴重極まりない作品です。もちろん白黒映像ですし、経年劣化で画質はAの下、音声の欠落や歪みも少しありますが、これだけの内容ですから許容範囲だと思います。

ちなみにこの日の録音からは、アナログ盤として「パリのコンサート(RCA)」というLPが作られており、この映像音声からトラック「04」と「05」が収録されています。

そしてこのDVDにはボーナスとして音声トラックのみで、前述のLPに入っていた「Ray's Idea」と「Lester Left Town」のオマケ付き♪ もちろん、その2曲も熱演ですから、つまり件のアルバム丸ごと+映像という優れものです。

まあ、正直言えば、その2曲の映像も発掘して欲しかったところではありますが♪

演奏・映像全体からスーツでビシッときめたメンバーの動き、1曲終わる毎にステージ前で頭を下げたり、演奏に指示を出すアート・ブレイキーのリーダーとしての姿! 等々が当にハードバップ~ファンキー、モダンジャズ全盛期の美しき瞬間を映し出しています。

特に血管ブチキレ寸前のリー・モーガンの姿には、目が潤みますよ♪

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食われる電源

2006-11-13 18:55:05 | Weblog
自分のPCとかオーディオがおかしいと思っていたら、仕事場全体の電源が不調のようです。

電力会社の人が来て、本日はいろいろとチェックしていきましたが、原因が特定出来ないという始末でした。

よって今日もブログは休載させていただきます。

わざわざ訪れてくださった皆様には、心からお詫び申し上げます。

それにしても突然、電源が切れたり入ったりするんで、PC関係はバックアップばかり取っています。なんだかなぁ……。

電力を食う怪獣とかエイリアンがいるんじゃなかろうか?
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懐メロ現在進行形

2006-11-12 19:41:56 | Weblog

ここ数日、新車を買う気分の高揚感で満たされています。でも、なんだかんだで、納車まで1ヵ月位ほどかかるとか! まあ、楽しみは長続きしたほうがいいわけですねぇ~♪ 早漏は虚しいですから!

と、まあ、私だけ幸せですみませんです。そこで今日は、これを――

Gerry Mulligan & Chet Baker Carnegie Hall Concert Vol.1 (CTI)

1952年に西海岸で結成され、そのスマートな音楽性で忽ち人気最高のバンドになっていたのが、ジェリー・マリガン&チェット・ベイカーのピアノレス・カルテットです。

しかしギャランティの問題とかジェリー・マリガンの麻薬癖によって、翌年にはあっけなく解散……。ただし残された音源は、隅から隅まで名演ばかりというわけで、その後も機会があれば再会ライブやレコーディングが行われていました。

本日の1枚も、当にその中のひとつですが、特筆すべきは単なる過去形の再現ではなく、当時台頭していた若手を起用して企画されたコンサートのライブ盤になっています。

録音は1974年11月24日、カーネギーホールでのライブセッションで、メンバーはチェット・ベイカー(tp)、ジェリー・マリガン(bs) に加えて、ボブ・ジェームス(p,key)、ジョン・スコフィールド(g)、ロン・カーター(b)、ハービー・メイソン(ds)、デイヴ・サミエルス(vib,per)、エド・バイロン(tb) という新進気鋭がバックを受け持っています――

A-1 Line For Lyons
 軽妙洒脱なジェリー・マリガンのオリジナルで、もちろん1950年代からの十八番ですので、テーマでのトランペットとバリトンサックスの絡みやアドリブも完璧です。
 ますチェット・ベイカーが全て「歌」になっている素晴らしいアドリブを披露すれば、ジェリー・マリガンは伴奏陣にビートを強化させて、負けず劣らずの歌心を発揮しています。
 またボブ・ジェームスのエレピが、得意技の出来すぎアドリブを聞かせてしまいますし、懸念されたハービー・メイソンの4ビートも違和感がありません。
 そしてジョン・スコフィールドが、現在からは想像も出来ないほどの正統派ジャズギターを聴かせてくれるのも嬉しいところ♪ ロン・カーターのベースも堅実です。
 それとデイヴ・サミエルスは無名ですが、なかなかの実力派で、ヴァイブラフォンが素敵な響きです♪

A-2 Song For Au Unfinished Woman
 これもジェリー・マリガンのオリジナルで、ちょっとモードが入った厳しさのあるテーマに凛として躍動的なビートが気持ちの良い曲です。ちょっとボサロック風のハービー・メイソンのリムショットが、ねぇ~♪
 そして自然体のアドリブで徐々に盛り上げていくジェリー・マリガンに呼応して、ビートを強くしてテンポを上げていくリズム隊! このあたりの遣り取りが、またスリリングです。もちろんジェリー・マリガンは淀み無く歌いまくりですし、伴奏ではジョン・スコフィールドのリズムギターが上手いですねぇ~♪ もちろんギターソロは気合が入ったモード系ですが、不思議な歌心に惹かれます。
 またボブ・ジェームスのパートでは当然ながらビアノトリオ色が強くなりますが、ロン・カーターのどっしりとしたベースと大技小技を取り混ぜたハービー・メイソンが存在感を示しています。
 それと、またまたデイブ・サミエルスが良い味出しまくりのヴァイブラフォン♪ この人がリーダー盤を出していたら、ぜひ聴いてみたいところです。

B-1 My Funny Valentine
 有名スタンダード曲ですが、ここでは言わずと知れたチェット・ベイカーの十八番とあって、テーマで最初のワンフレーズが吹かれた瞬間、客席からは盛大な拍手が沸きあがります。
 演奏はそのまま、チェット・ベイカーのハスキーなトランペットがリードしつつ、ジェリー・マリガンがカウンターのメロディをつけ、またボブ・ジェームスが彩り豊かなコードで伴奏して進みます。
 そしてアドリブパートでは、まずジェリー・マリガンがミステリアスでハードボイルドなソロを聴かせ、ボブ・ジェームスが清々として耽美な歌心を披露しています。
 またロン・カーターの変幻自在なベースの絡みが良いですねぇ~♪
 気になるチェット・ベイカーのボーカルは、ここでは聴かれないのが残念というファンが多いかもしれませんが、それはそれとして、なかなかの名演だと思います。

B-2 Song For Strayhorn
 デューク・エリントンの懐刀として活躍した作曲家のビリー・ストレイホーンに捧げてジェリー・マリガンが書いた、静粛な名曲です。
 スローな展開からジェリー・マリガンが心をこめてテーマメロディを歌いあげれば、バックではボブ・ジェームスがエレピで幻想的な伴奏をつけています。
 もちろんアドリブパートは、テーマに潜む魅惑の美メロが限りなく豊かに変奏され、いやぁ~、全く酔わされますねぇ~♪ バリトンサックスとエレピの響きの融合性の美しさが、これほどとはっ!
 またジョン・スコフィールドのギターがクールに燃えていますし、ハービー・メイソンのブラシが、意外にもシブイ好演です。

ということで、実はこのアルバムではチェット・ベイカーが2曲しか参加していません。ただし同日の演奏を収めた第2集も出ていますので、ご安心下さい。そちらも近々、取上げたいと目論んでいます。個人的にはそっちの方が、実は好きなんです♪

で、全体的には新鮮な伴奏陣ゆえに、刺激的で豊かな音楽性が溢れ出た仕上がりだと思います。つまり単なる懐古趣味になっていません。

時代的にはフュージョンが人気を集めだした時期であり、このアルバムの製作レーベルも、その代表のCTIということで、これは聴かないうちは嫌な予感に満たされる1枚なんですが、実は最もジャズらしさに満ちた作品です。

特にボブ・ジェームスの美メロ主義、ジョン・スコフィールドの意外な横顔、さらにハービー・メイソンの切れ味するどいドラムス等々、後のフュージョン全盛期で大いに人気を集めたプレイの一端が、既に堪能出来るブツとして要注意なのです。

機会があれば、ぜひとも聴いて欲しいアルバムです。

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和みのマッコイ♪

2006-11-11 17:42:08 | Weblog

新車を買うって、やっぱりウキウキしますねぇ~♪ 後はお金の工面だけですが……。

ということで、本日はこれにしました――

McCoy Tyner Plays Ellington (impulse)

懐かしの連想ゲーム!

マッコイ・タイナーと言えば、すぐさまジョン・コルトレーンでしょう。とにかく精力絶倫! 垂れ流し寸前のフレーズが洪水のように押し寄せる、その醍醐味がマッコイ・タイナーのピアノスタイルでしょう。

実際、ジョン・コルトレーンとの共演以外でも、マッコイ・タイナーの人気盤は、ほとんどがそういうスタイルで押し通した作品ばかりです。

しかし、本質はどうなんでしょう? 例えばジョン・コルトレーンのバンドの一員として録音された、歌手のジョニー・ハートマンのリーダー盤では、ビル・エバンスっぽいアプローチを聴かせてくれましたが、そんな繊細な感覚なんて、全く無視されていたのが1970年代だったと思います。特に日本のジャズ喫茶では、その傾向がモロに……。

ですから、このアルバムは私にとって、長い間、ノーマークの1枚でした。

内容はタイトルどおり、ズバリとデューク・エリントンのソングブック♪ 録音は1964年12月7&8日、メンバーはマッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) のトリオに、曲によってウィリー・ロドリゲスとジョニー・パチェコのパーカッションが加わっていますが、録音日が2日に渡っているので、どっちがどっちなのか、判別出来ません――

A-1 Duke's Place
 ド頭の演奏にしては、ちょっとタイトルで戸惑いますが、実はお馴染みの「C Jam Blues」と同じ曲です。ちなみにデューク・エリントンのバンドでは、ボーカルバージョンになると、この曲名が使われていたようです。
 ここでの演奏は重いベースと軽快なパーカッションに導かれ、暗めなマッコイ・タイナーのピアノが、芳醇なブルースフィーリングを醸し出していきます。
 エルビン・ジョーンズは控えめですが、それでも要所でキメの一撃を放つなど、やはり存在感がありますねぇ~♪ 短い演奏なのが勿体無いところです。

A-2 Caravan
 デューク・エリントンのヒット曲と言うよりも、我国ではエレキバンドのザ・ベンチャーズの十八番として、私の世代ならば誰もが知っている曲でしょう。
 ここでの演奏はパーカッションの存在を存分に活かしたアレンジで、エキゾチックな部分と迫力の4ビートを上手く融合させたリズムアレンジが自然体で、なかなか好ましい仕上がりです。
 マッコイ・タイナーのピアノからは暗く饒舌な響きが溢れ出していますし、エルビン・ジョーンズも自己主張を忘れていませんから、つい、ボリュームを上げてしまいます。

A-3 Solitude
 原曲はゆったり感が魅力の名曲ですが、ここでは純粋ピアノトリオで軽妙洒脱♪ アップテンポでスインギーに演奏するマッコイ・タイナーが、なかなか本領発揮だと思います。
 それは歌心と猛烈早弾きのバランスの良さ♪ バックのエルビン・ジョーンズもネバリのブラシが冴え、またジミー・ギャリソンのベースも堅実な土台作りに腐心しています。
 ちなみに、このトリオは当時のジョン・コルトレーンのリズム隊でしたが、日に日にフリー化していくリーダーとリズム隊の人間関係は良好では無く、特にマッコイ・タイナーは困惑させられていたそうです。う~ん、確かにこの演奏を聴くと、このピアニストの保守性というか、本当にやりたかったのは、こういう和みのハードバップだったのかなぁ……、と思います。
 いやぁ~、本当に素敵な演奏なんですよ♪

A-4 Searchin'
 再びパーカッションが加わったグルーヴィな名演です。
 全員が絶妙のタメとモタレに撤し、なおかつスイングを心がけたノリが楽しい限りです。
 もちろんマッコイ・タイナー独自のスケール練習的なフレーズや暗いブロックコードの炸裂もありますが、それ以上に歌心が大切にされているので、嫌味になっていません。チャカポコのパーカッションが本当に効果的ですねぇ~♪

B-1 Mr.Gentle And Mr.Cool
 ジミー・ギャリソンがベースでリードするリフとマッコイ・タイナーの暗いピアノが絶妙にマッチした、これなんか如何にもジャズ喫茶的な演奏だと思います。
 全体にグルーヴィな雰囲気が横溢していますし、厳しい中にもリラックスしたノリが、もう最高です。もちろんエルビン・ジョーンズも恐怖の一撃とポリリズムの乱れ撃ち! シダー・ウォルトン(p) あたりが好きな人にも、たまらんはずですよ♪

B-2 Satin Doll
 お馴染みの人気曲がパーカッション入りで、ノリノリに楽しく演奏されています。
 マッコイ・タイナーのピアノからは、ジョン・コルトレーンとの共演で聴かせているフレーズが連発されますが、何故か疲れる雰囲気ではなく、あくまでも和み感が強調されています。
 ちなみにこの曲はリーダー自身のお気に入りらしく、このアルバム以前に吹き込まれた「ブルースとバラードの夜=通称ブルバラ(impulse)」でも演奏していますが、個人的には、こちらのバージョンが好みです。なにしろエルビン・ジョーンズが叩いていますからねぇ~♪

B-3 Gypsy Without A Song
 ラテンリズムを複合して拡大解釈したようなビートと魅惑のテーマメロディがビシッとキマッた力演です。
 全篇で、これぞマッコイ・タイナーという「節」がたっぷり出ていますし、エルビン・ジョーンズの強力なブラシ、エグ味が強いジミー・ギャリソンのベースがピアノトリオの醍醐味をたっぷり聴かせてくれます。

ということで、これはマッコイ・タイナーとしては目立たないリーダー盤ですが、なかなか味わい深い仕上がりだと思います。

ちなみにこのトリオが翌日、ジョン・コルトレーンの「至上の愛(impulse)」のセッションに参加したのは有名なエピソード! 全くどっちが本音か分からなくなるような、素晴らしい日々だったわけですねぇ~。

そして、ついに翌年、ジョン・コルトレーンのバンドを辞めたマッコイ・タイナーは、自分のトリオで活動しようと目論んだそうですが、全く仕事の無い状態に追いやられてしまいます。それは、このアルバムのようなリラックス路線を追求したのでしょうか?

まあ、世間の目は、あくまでもジョン・コルトレーンのバンドレギュラーとしてのマッコイ・タイナーに価値を見出していたのでしょう。

結局、マッコイ・タイナーは、そんな壁に突き当ったのでしょうか? 1967年になってようやくブルーノートと契約出来た後は、コルトレーンの遺産継承者のような演奏に邁進するのですが、それゆえに人気が沸騰しても、どうも本音はこの作品のようなハード&リラックス路線だったような気がしています。

それは聴いていただければ分かりますが、とても魅力的な演奏です。

そしてマッコイ・タイナーは1980年代中頃から、第一線から引いたような印象になりましたが、発表される作品は明らかに、このアルバムの路線を継承していると思います。

本日、久々に聴いて、ジャズの楽しさを再認識してしまいました。

コメント (2)
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