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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

冬が来る前に

2006-11-05 15:19:38 | Weblog

今日は秋晴れ♪ 一年中、こんな天候だと良いんですが、この雪国では、この好転を利用して冬仕度をするのですねぇ~。

私は気が早く、冬用のスタットレスタイヤを予約してきましたです。今月半ば頃にはミゾレ~雪が降ったりしますからねぇ~

昨年の冬は豪雪で泣きが入りましたが、今年はどうなることやら……。今日みたいな暖かい日だと、猛吹雪の冬が想像出来ないですよ。もう雪国の冬は4度目になるというのにねぇ……。

ということで、本日はホノボノと熱い、これを――

Newpert 1958 / Dave Brubeck (Columbia / Sony)

モダンジャズ全盛期に一番人気が高かったバンドは、デイヴ・ブルーベックのカルテットです。ポール・デスモンドいう看板スタアを擁した、その明快で分かり易い演奏スタイルは、ジャズという分野を越えて広く一般的な人気までも獲得していました。

しかし、やっている事は決して腑抜けではありません。

白人のバンドなので、ファンキーとかゴスペルといった分野から離れていますが、クラシック~現代音楽の影響が強いデイヴ・ブルーペックの作編曲とピアノは、ある意味で過激ですし、黄金期に在籍していたジョー・モレロという天才ドラマーが敲き出すビートは、輝きに満ちています。

このアルバムはタイトルどおり、1958年のニューポートジャズ祭のライブ音源を中心に、同時期のニューヨークでの録音をプラスした内容で、結果的にデューク・エリントンにちなんだ作品集になっています。

メンバーはポール・デスモンド(as)、デイヴ・ブルーベック(p)、ジョー・ベンジャミン(b)、ジョー・モレロ(ds) です――

A-1 Things Ain't What They Used To Be (1958年7月3日録音)
 デューク・エリントン楽団のテーマ的な名曲を、デイヴ・ブルーベック・カルテットは、なかなかグルーヴィに演奏しています。
 と言っても、黒人的なニュアンスは希薄で、デイヴ・ブルーペックのピアノは意識的にブルースのフレーズを弾いていますが、あくまでも様式美の追求に留めています。
 またポール・デスモンドが、随所でエリントン楽団の看板スタア=ジョニー・ホッジスの物真似を聞かせるのは、ご愛嬌以上のトリビュートでしょう♪ これがなかなかに素敵なブルースになっているのですから!
 と書くと、なんかパロディバンドみたいに思われるかもしれませんが、不思議なことにジャズの醍醐味が横溢した演奏になっているのでした。
 う~ん、ジョー・ベンジャミンのベースソロも素敵です♪

A-2 Jump For Joy (1958年7月3日録音)
 ミュージカルにも取上げられたデューク・エリントンの楽しい名曲です。
 ここではベースとドラムスの躍動的なリズムに煽られて、ホール・デスモンドが軽快にテーマをフェイクし、デイヴ・ブルーペックのビアノが対位法的に伴奏するあたりが、このバンドならではの持ち味でしょう。
 そしてアドリブパートでもポール・デスモンドが本領発揮の歌心に加え、ライブということで、かなりのスタンドプレイを披露していますが、憎めません♪
 またデイヴ・ブルーベックは洒脱な展開に加えて、硬質なスイング感から相当にエグイ味も聴かせてくれますが、ジョー・モレロのドラムスがジャストな4ビートを敲き出しているので乱れがありません。

A-3 Perdido (1958年7月3日録音)
 これもエリントン楽団の楽しい看板曲ですから、既に一家を構えているとはいえ、デイヴ・ブルーベックも自分勝手な解釈は許されない雰囲気で、快適な演奏が繰り広げられています。
 まずポール・デスモンドはスカスカのソフトな音色で鋭いフレーズを連発し、途中、2分27秒目からの連続ブレイクではスリル満点という圧巻のソロを聴かせてくれます。もちろん歌心も忘れていませんよっ♪
 対するデイヴ・ブルーベックは、曲をどんどん難解な方向に持っていくように偽装しながら、随所にハッとするほど歌心に溢れたフレーズを入れるという、ちょっとズルイ手法で面目躍如です。
 まあ、こういう事が許されるのは、ジョー・モレロという完全無欠のドラマーがいるおかげでしょうねぇ。ここでも単調寸前のジャストなシンバルワークが逆に凄みであり、それゆえにジョー・ベンジャミンが、なかなか良いベースを聴かせてくれます。
 そしてクライマックスでは4人が入り乱れのソロ交換! しかし整然としているのは、このバンドの美徳というところでしょうか、盛り上がってからクラシック的な展開になるあたりが、個人的には大好きです♪

B-1 Liberian Suite - Dance No.3 (1958年7月28日録音)
 さてB面の頭から3曲は、ニューポートでの録音ではなく、ニューヨークでのセッションとされていますが、これが生ライブなのか、あるいはスタジオ録音に拍手を被せた擬似ライブなのかは、ちょっと不明です。
 まあ、そんなのことは瑣末な問題ですが、どうしても気になるのが私の性分でして……。
 肝心の演奏は、全篇でジョー・モレロのドラムスが冴えた展開ですから、ポール・デスモンドも、かなり思い切ったフレーズを聞かせてくれます。

B-2 The Duke (1958年7月28日録音)
 デイヴ・ブルベックがデューク・エリントに捧げて書いた名曲で、ジャズファンにはマイルス・デイビスとギル・エバンスの共演バージョンが知られているはずです。
 しかしこの曲は作者にとっても自信作とみえて、幾つかのバージョンを残していますし、これもその中のひとつとして、なかなかの名演になっています。
 まずデイヴ・ブルーベック・トリオという趣向で演奏がスタートし、アドリブパートでポール・デスモンドが入るという十八番の展開から後は、もう桃源郷の如き甘美で刺激的な世界です♪
 う~ん、それにしてもデイヴ・ブルーベック独自のスイング感は、ちょっと見事だと思います。反ウィントン・ケリーというか、妙に直線的なノリは、好き嫌いがあると思いますが、ある意味でロック的だと私は思います。

B-3 Flamingo (1958年7月28日録音)
 甘美な有名スタンダード曲が、なおさら甘く優雅に演奏されています。
 特にポール・デスモンドが、とろけるような音色で夢見心地のフレーズばっかり吹いてくれますからねぇ~♪ もう何も言いません。静かに聴いて幸せに浸りましょう。
 そしてリズム隊が、また気持ちの良い、物分りの良いスイング感なんですねぇ~♪ もちろん、デイヴ・ブルベックのビアノからは美メロのアドリブが出ていますよ。

B-4 C Jam Blues (1958年7月3日録音)
 オーラスは再びニューポートジャズ祭の音源に戻り、あまりにも有名なブルースが演奏されています。
 景気の良いジョー・モレロのドラムスが呼び水となって、バンドは一丸となって独自のスイング感を追及していきます。
 デイヴ・ブルーベックのビアノはレニー・トリスターノ~現代音楽の影響が強いクール感覚ですが、本人は、かなり熱くなっているようです。
 またジョー・モレロのドラムソロは、ロックのドラムソロとしても転用可能なリックが多く、やはり天才は違いますねぇ~~~♪
 ラストはなんと「A列車」が飛び出すシャレが効いています。

ということで、録音当時全盛だった黒人ハードバップとは、明らかに違うノリの演奏ばかりですが、実はこれがリアルタイムでは人気の最先端でした。

我国では評論家の先生方が、「デイヴ・ブルーベックはスイングしない」と決め付けた過去があり、それゆえに人気がイマイチというか、少なくともジャズ喫茶では冷遇されていたと思います。

「Take Five」のヒットもシャリコマとされましたし……。

しかし私はジョー・モレロにデイヴ・ブルーベックという、スッパリとキレたコンビが大好きですし、ポール・デスモンドは言わずもがな♪ 極言すれば、やっている事は何時も同じなんですが、それは他のバンドでも一緒でしょう。

良いものは良い、好きなものは好き! と本日は居直っておきます。ご容赦ください。

コメント
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