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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

西海岸ハード

2006-11-19 18:35:08 | Weblog

本当に今年は、身の回りで訃報が多かったと感じています。

仕事関係も含めると、なんとここまで、毎月なんらかの葬儀に列席していたという……。

あぁ、自分もそういう歳になったのかなぁ……。と納得とも虚心ともつかない溜息が……。

ということで、本日は仕事場に戻る車の中、これ聴きました――

Talkin' & Walkin' / Kenny Drew (Jazz West)

晩年は超人気ピアニストとして過ごしたケニー・ドリューも、駆け出し時代は一介の黒人ジャズピアニストでした。

しかしメリハリの効いた独特のタッチとネバリ、そしてディープな黒い感覚は、頭角を現した1950年代初期において、明らかに後のハードバップに直結する響きが濃厚という魅力的なものですから、その時代に残された録音こそが、ケニー・ドリューの真髄とするファンも大勢存在しています。

このアルバムは、まさにそうした1枚で、録音は1955年12月のLA! メンバーはジョー・マイニ(as,ts)、ケニー・ドリュー(p)、リロイ・ビネガー(b)、ローレンス・マラブル(ds) という、所謂ワンホーン盤になっています――

A-1 Talkn'- Walkin'
 ケニー・ドリュー作曲になっていますが、これといったテーマメロディは無く、初っ端からリズム隊だけでグルーヴィな演奏が始まるブルースです。
 もちろんケニー・ドリューのピアノからは晩年まで使い続けられたお約束のフレーズが連発され、本当に快適です。
 そして途中から参戦するジョー・マニイはテナー・サックスで奮戦! この人は白人ですが、なかなか黒いフィーリングもあり、テクニックよりは味で勝負するタイプでしょう。当時の西海岸ではトップを張っていたひとりでしたが、残念ながら早世しています。
 またベースとドラムスも堅実で、ハードバップならではのコンビネーションの妙を聞かせてくれます。

A-2 In The Prescribed Manner
 これもケニー・ドリューのオリジナルという、素晴らしくカッコ良いハードバップです。秘められたマイナー調が琴線に触れまくりですし、弾むようなグルーヴがイケています♪
 アドリブ先発のジョー・マイニは、かなりシブイ雰囲気ですが、続くケニー・ドリューが本領発揮のメチャノリ♪ ビバップ系のフレーズに加えて、時折、ハッとするほど熱い美メロを弾いてくれますからねぇ~♪ 躍動感溢れる左右両手のバランスも最高です!
 またリロイ・ビネガーも、十八番のウォーキン・ベースの妙技から、ドラムスとのソロチェンジに持っていくところの上手さが絶品のスリルです。

A-3 Prelude To A Kiss
 お馴染みのエリントン・ナンバーを、ケニー・ドリューは最初からソロピアノでじっくりと聴かせ、後半になってからドラムスとベースを従えてテーマを弾くという、まことにニクイ演出をやってくれました。
 う~ん、それにしても後半で聞かせるテーマ変奏の上手さは、カクテルラウンジでの「お仕事」としても、また本格ジャスとしても一級品だと思います。つまり虫歯になりそうなほど甘くて、その甘さに溺れさせてくれないのです。

A-4 Wee Dot
 J.J.ジョンソンが書いたブルースを、バンドは一丸となって強烈なハードバップに仕立て上げていきます。
 なにしろリズム隊が快適そのものですから、フロントのジョー・マイニもノリの良いフレーズを連発していますし、続くケニー・ドリューは説明不要の「ドリュー節」を大放出です!
 さらにアルトサックスに持ち替えたジョー・マイニとローレンス・マラブルのソロチェンジが、これぞジャズの醍醐味♪

B-1 Hidden Channel
 これもケニー・ドリューのオリジナルですが、相当にエキセントリックなハードバップで、しかも猛烈なスピードで演じられます。
 アドリブパートでは、まずジョー・マイニがアルトサックスで鋭くブロー! 基本はもちろんチャーリー・パーカーなんですが、アート・ペッパー的なアプローチも出たりします。
 そしてケニー・ドリューは、これだけのスピードでありながら、全く乱れも淀みも無い凄まじいノリで、全篇を押し切るのでした。
 ローレンス・マラブルのドラムスも健闘しています。

B-2 Deodline
 またまた快適なケニー・ドリューのオリジナル曲で、ウエストコースト的なスマートなノリでハードバップのメロディを演じた雰囲気が、たまりません♪
 なにしろリズム隊が快適至極ですし、ジョー・マイニーも伸びやかに歌っています。
 そしてケニー・ドリューは、弾むようなタッチで極上ビバップフレーズの大洪水♪

B-3 I'm Old Fashioned
 お馴染みのスタンダード曲がスローで演奏されていますが、一人舞台を演じるジョー・マイニが、ややイモな雰囲気なのが残念……。丁寧に吹いているんですがねぇ……。

B-4 Minor Blues
 おぉ、これはっ♪
 ケニー・ドリューのオリジナルですが、後年、いろんなタイトルで演奏されているので、ファンならば一度は聴いたことがある名曲です。
 そしてケニー・ドリューのファンキーっぽさが、もう最高です♪
 サポートするベースとドラムスもタメのネバリの好演で、快適なテンポでありながら、当にハードバップという黒~い雰囲気が素晴らしいと思います。
 ジュー・マイニも、ちょっとJ.R.モントローズ風のノリとフレーズで頑張っていますし、リロイ・ビネガーのウォーキング・ベースソロの合の手で聴かれるケニー・ドリューのコード弾きも、興味深いところです。

B-5 Walkin'- Talkin'
 アルバムの締めくくりは、冒頭と同じ雰囲気のブルースで、タイトルどおり、つまりは別テイク的なお遊びが楽しいところです。
 ただし演奏は一層、黒~い雰囲気が濃厚で、ピアノトリオで演じられるパートの快適なグループは天下一品でしょう! あぁ、何時までも聴いていたいです♪
 そしてジョー・マイニも相当にこなれたフレーズを出していますから、なかなか和めます。

ということで、これは西海岸製のハードバップ!

ですから、例えばブルーノートあたりに残されている演奏と比較すると、どこかしら軽い感じが漂うのも事実です。しかし、その快適さがクセになるというか、妙に軽快なグルーヴがケニー・ドリューの真っ黒なフィーリングと絶妙な化学変化を起こしたような、まさにジャズ者には気になる1枚だと思います。

ちなみに現行CDはボートラ3曲、ついています。音もなかなか、良いですね。

 

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